技術開発ニュース No.168

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研 究 成 果
第 4 図 ナセル方位角設定時画面
第 7 図 自動撮影画像をもとに作成された点検レポート
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AI による異常検出
ドローンの自動飛行・撮影によって外観点検の省力化が
実現される一方で、撮影される画像データは、風力発電設
備 1 基あたり 500 枚近くとなり、1 枚 1 枚確認する点検者
への一定の負担が存在する。そこで自動飛行の研究と並行
して、点検者のサポートとなる AI によるブレードの異常
検出技術についても開発・検討を進めている。開発中の AI
第 5 図 ブレード角設定時画面
が異常部分を検出する様子を第 8 図に示す(緑部が検出箇
所)。こうした技術により点検者の確認時間削減や見逃し
防止も図っていく。
第 8 図 AI によるブレードの異常検出例
第 6 図 ブレード撮影時のアプリ画面
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おわりに
本稿では、風力発電設備のブレードの外観点検を対象と
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アプリを用いた点検試行導入
した、ドローンの自動撮影アプリや、並行して開発を進め
る AI 技術について紹介した。この技術は従来の点検作業の
時間削減や安全性向上に寄与するだけでなく、点検作業に
アプリによる撮影終了後は、取得した高精細な画像デー
よる風力発電設備の発電停止時間の削減にも寄与すること
タをドローンから取り出し、異常箇所が無いか確認し、点
が出来る。自動撮影アプリについては、試行導入の結果が
検レポートにまとめる。
良好であったことから、試行導入時のフィードバックを反
アプリの有効性を確認するため、2023 年度より実際の
映した上で、2024 年度より本格導入を予定している。
風力発電設備を対象に、試行的に点検する取り組みを実施
今後も同技術の発展および横展開を進め、風力発電設備
している。本試行に協力頂いた点検者の方々からは、ア
に限らず人が現地に出向し高所作業にて行っている設備点
プリによる自動撮影で取得したブレード画像を用いた外観
検に対して、ドローンの自動飛行技術と AI による異常検出
点検で、従来の高所作業にて確認・作成されていた点検レ
技術を組み合わせて、省力化および安全性向上の実現を目
ポートと同等のレポートが作成可能であるとの評価を受け
指していきたい。
ている(第 7 図)。
技術開発ニュース 2024.03/No.168
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