技術開発ニュース No.168

- ページ: 71
-
研 究 成 果
充電量と走行により減少した SOC には、強い相関関係
(決定係数 0.998)が確認できた。
の EV 充電量でも充電制御が必要となるように、当社営業
所の電力需要を 1/15 に圧縮した。
そこで、走行により減少する SOC を予測するため、走
充電制御しない場合、2 号車の 14 時の充電により契約電
行距離や気温および速度などを説明変数として、重回帰分
力が超過し、1 号車の 16 時の充電開始により契約電力が大
析により近似式を構築した。近似式の検証は 250 回の分析
幅に増加する。一方、充電制御する場合は、SOC の低下分
データのうち無作為に 46 データを抽出して行い、それ以
と翌日の予約状況から 1 号車の充電が優先され、18 時に充
外のデータで近似式を構築した。
電を開始する計画となっている。1 号車が充電可能となる
近似式による予測結果は、平均値 18.0%に対して、平
17 時に充電開始とならないのは、電力需要の予測誤差(図
均平方二乗誤差が 3.3%、平均絶対誤差率が 13.0%となっ
中の水色の範囲)が反映されているためである。
た。第 4 図のとおり実測値と予測値には強い相関関係(決
以上の結果、事業所の電力需要を想定して、EV 充電可能
定係数 0.983)が見られ、SOC を高精度に予測できること
電力を推定し、EV の SOC と予約情報から充電を優先する
を確認した。
車両が判定されて充電計画されていることを確認した。
100
第 2 表 EV の当日の利用と翌日の予約状況
y = 2.0324x
80
7
9
11
13
15
17
19
21
23
1
3
5
7
R² = 0.9939
SOC
60
40
2
18
16
20
k
14
12
10
8
0
6
4
40
2
21:00
22:00
23:00
0:00
1:00
2:00
3:00
4:00
5:00
6:00
7:00
23:00
0:00
1:00
2:00
3:00
4:00
5:00
6:00
7:00
20:00
22:00
19:00
20:00
21:00
18:00
19:00
17:00
18:00
16:00
15:00
14:00
13:00
7:00
kWh
12:00
0
11:00
30
9:00
20
10:00
10
8:00
0
第 3 図 充電量と SOC との関係
2
18
16
100
90
R² = 0.9367
80
k
14
y = 0.9763x
12
10
8
6
4
2
70
17:00
16:00
15:00
14:00
第 5 図 EV 充電計画
50
SOC
13:00
12:00
11:00
10:00
9:00
60
8:00
7:00
0
40
4
30
20
事業所への EV 大量導入を想定し、充電集中による電力
10
0
まとめ
設備の増強や契約電力超過による基本料金の上昇を抑える
0
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
SOC
第 4 図 SOC の実測値と予測値との関係
EV 運用管理システムの開発を進めている。
電力需要予測や SOC 予測および充電計画のための制
御ロジックについては、開発の見通しが得られたため、
2023 年度中に開発中の要素技術の効果を検証する。
3
充電制御ロジックの構築
また、太陽光発電や急速充電器が設置される事業所も想
定し、発電予測や充電計画ロジックを構築して、2024 年
度に実フィールドにて実用性を検証する予定である。
EV 充電計画を策定するロジックを作成し、開発中の予
測モデルを用いて、第 2 表の EV 利用状況に基づき、EV 充
電計画を策定した結果を第 5 図に示す。本研究では、2 台
技術開発ニュース 2024.03/No.168
70
- ▲TOP