技術開発ニュース No.168

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- Results of Research Activities
暮らしにおける省エネや快適さの支援技術の
定量評価
Research on technologies supporting energy efficiency and comfort in daily living.
・半てんやこたつの暖房効果と洗濯物の部屋干しによる加湿効果
年々厳しさを増す冬の寒さや、電気料金の高騰により快適かつ省エネな暮らしへの関心
が高まっている。本研究では「半てんやこたつを活用することによる省エネ効果」と「洗
濯物の部屋干しなどによる加湿効果」について、外気制御により冬の環境を忠実に再現可
能な実験棟にて、実際の温熱環境や各家電の消費電力量の測定・評価を行った。
1
半てんやこたつによる厚着・採暖効果と
省エネ性について
(1) 実験概要
執筆者
先端技術応用研究所
EaaS グループ
久保田 潮
イ こたつによる採暖効果
半てんを羽織り、こたつの設定を弱中(調節つまみ 4
分の 1)と中(調節つまみ 2 分の 1)にした場合の被験
者試験のアンケート結果を第 2 図に示す。また、各条件
外気 7℃・50%RH、室内のエアコン設定温度を 23℃と
におけるエアコンおよびこたつの消費電力量を第 3 図
した状態を基準とし、半てんを羽織ることやこたつで採暖
に示す。半てんを着用し、こたつを使用することで設
することによる生理心理反応および設定温度を下げること
定温度を 4~6℃下げても、温冷感や快適感、満足感は 0
による省エネ効果について検証を行った。試験条件は第 1
以上の値を保っている。一方で 6℃下げた場合は大気中
表の全 6 通りであり、条件ごとに 4 人の被験者に対して、
に暴露されている手先に寒さを感じやすい結果となっ
全身・上半身・下半身・手先の温冷感および快適感と満足
た。設定温度を 6℃下げ、こたつの設定を弱中とした場
感について -3(寒い・非常に不快・非常に不満)から +3
合は 1 時間当たり 0.08kWh(22.2%)、中とした場合は
(暑い・非常に快適・非常に満足)の計 7 段階の指標でアン
0.03kWh(8.3%) の消費電力量の削減となることが分
ケートを実施した。
A
B
C
かった。
第 1 表 試験条件
内容
設定温度 23℃・
部屋着・こたつ無し
設定温度 23℃・
半てん着用・こたつ無し
設定温度 21℃・
半てん着用・こたつ無し
条件
条件
研 究 成 果
D
E
F
内容
設定温度 19℃・
半てん着用・こたつ弱中
設定温度 17℃・
半てん着用・こたつ弱中
設定温度 17℃・
半てん着用・こたつ中
(2) 実験結果
ア 半てんによる厚着効果
半てんを羽織った場合の被験者試験のアンケート結果
を第 1 図に示す。なお、アンケート結果は被験者 4 人の
平均値でプロットしてある。基準である条件 A と比較す
第 2 図 被験者試験におけるアンケート結果 (b)
ると、半てんを羽織ることで全身・上半身の温冷感は上
昇し、快適感や満足感も 0 以上を保っていることが分か
る。半てんを羽織り、エアコンの設定温度を 2℃下げる
ことで、1 時間当たりの消費電力量は 0.03kWh(8.3%)
の削減となることが分かった。
22.2%
8.3%
第 3 図 エアコンとこたつの 1 時間当たりの消費電力量
第 1 図 被験者試験におけるアンケート結果 (a)
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技術開発ニュース 2024.03/No.168
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