技術開発ニュース No.168

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研 究 成 果
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水を沸騰させた状態のやかん・鍋と洗濯
物の部屋干しによる加湿効果
70 枚干すことで気化式加湿器(弱運転)以上の加湿効
果を得られることも判明した。
(1) 実験概要
19.1 畳の洋室 LDK(第 4 図)にて、
①沸騰水を入れたやかんと鍋を置いた場合
②濡れたタオル(10・30・70 枚)を部屋干しした場合
の 2 通りの条件における室内湿度の経時変化を測定した。
第 6 図 濡れタオルを干した場合と気化式加湿器を弱運転
させた場合の絶対湿度増加量の経時変化
ウ 各種加湿方法による相対湿度と室温の比較
水を沸騰させた状態のやかんと鍋を置いた場合と濡れ
タオルの部屋干し、気化式加湿器を弱運転させた場合
における室内相対湿度と室温の 2 時間平均を第 7 図に示
す。水を沸騰させたやかんと鍋を置くことによる加湿効
果は薄いが、濡れタオルを 30 枚干すだけでも、2 時間
第 4 図 実験を行った洋室 LDK
(2) 実験結果
ア 水を沸騰させた状態のやかんと鍋を置いた場合
で 20.6℃・38%RH の加湿が可能であり、さらに枚数を
70 枚とすることで加湿器以上の効果が得られることが
分かった。
沸騰水をやかんに 1.5ℓ入れた場合と、やかんとなべ
にそれぞれ 1.5ℓずつ入れた場合および 0.75ℓずつ入れ
た場合の、室内における絶対湿度増加量の経時変化を第
5 図に示す。いずれの場合も 20 分を過ぎたあたりから加
湿能力が落ち始め、2 時間後には水温の低下により加湿
できなくなった。また水量を増やしても蒸発量に大きな
変化はないが、外気に接する表面積の大きい鍋の方がや
かんよりも蒸発量が大きく、加湿能力が高いという結果
になった。
第 7 図 各種加湿方法による相対湿度と室温の比較
3
まとめ
昨今の著しい電気料金の値上げの中、快適に過ごしなが
らもできる限り省エネに暮らすための工夫について評価を
第 5 図 水を沸騰させた状態のやかんと鍋を置いた場合の
絶対湿度増加量の経時変化
イ 濡れたタオルを部屋干しした場合
洗 濯 機 で 洗 濯・ す す ぎ・ 脱 水 を 行 っ た タ オ ル 10 枚
行った。寒さや乾燥の厳しい冬場では、半てんやこたつを
使用しエアコンの設定温度を 6℃下げることで 22.2% の消
費電力量の省エネ効果が期待され、濡れタオルを部屋干し
することによりコストをかけずに加湿を行うことが可能で
ある。
(約 0.4 kg)、30 枚(約 1.2 kg)、70 枚(約 2.8 kg)を
これらの実験結果は、お客様 WEB サービス「カテエネ」
部屋干しした場合と、比較対象として容量 4.2ℓの気化
のコラム「カテエネ研究所」にて発信を行っている。「カ
式加湿器 2 台を弱運転させた場合の、室内における絶対
テエネ研究所」では、他にも暮らしにおける豆知識につい
湿度増加量の経時変化を第 6 図に示す。干すタオルの枚
て、省エネや快適性の効果を確認するための各種実験を紹
数が増加するほど、蒸発する水分量が増えることから絶
介している。今後もお客様の関心事に注目し、お客様に省
対湿度の増加量も上昇し、10 枚であっても 2 時間程度
エネ行動を促すとともに快適な暮らしを実現できる工夫に
は加湿能力を維持できることが分かる。また、タオルを
ついて情報発信を続けていきたい。
技術開発ニュース 2024.03/No.168
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