技術開発ニュース No.168

- ページ: 79
-
研 究 成 果
3
※ 3 液体と蒸気との界面変動を伴う不規則でかつパルス状
実験結果のまとめ・考察
の大きな圧力振動が発生する状態。
(1)実験装置の妥当性確認のための基礎実験
高速度カメラによる蒸気凝縮挙動の観察、及び圧力セン
※ 4 気泡の成長と消滅を繰り返し、振幅の小さい高振動数
の圧力振動が発生する状態。
※ 5 大気泡を伴うゆっくりとした膨張と収縮を繰り返し、
サによる蒸気凝縮時の圧力振動の観察から、プール水温
小さな圧力振動が発生する状態。
度、蒸気流束を変化させることで蒸気凝縮の挙動がチャギ
ング※ 3 状態(第 3 図)、凝縮振動※ 4 状態(第 4 図)、バブリ
ング
※5
状態(第 5 図)へと変化することを確認し、圧力振
動のデータを収集した。
(2)ノズルの向きによる蒸気凝縮挙動への影響確認
第 6 図の実験条件(★ 1 ~ 5)の観察結果から、第 1 表
に示すとおりノズルの向きによる蒸気凝縮挙動の状態変化
への影響は確認されなかった。これは、同じ径の気泡は、
同じ時間で消滅すること、およびその際に発生する圧力波
が球面上に伝達することが要因であると推察した。
第 1 表 各試験条件での蒸気凝縮挙動の観察結果
No.
第 3 図 観察結果(チャギング状態)
( )
(kg/m2 s)
1
20
10
2
45
10
3
45
25
4
80
25
5
80
45
(3)非凝縮性ガス混合による蒸気凝縮挙動への影響確認
非凝縮性ガスの混合割合以外は同条件(ノズル向き、流
束、プール水温度)で実験を行った際の圧力振動の違い
について第 7 図に示す。非凝縮性ガスを混合した蒸気の方
第 4 図 観測結果(凝縮振動状態)
が、圧力振動が小さくなる傾向を確認した。これは、非凝
縮性ガスが混合することで蒸気と水との接触確率が減った
第 5 図 観測結果(バブリング状態)
また、実験結果を横軸に蒸気流束、縦軸にプール水温度
とした状態図にまとめた結果を第 6 図に示す。
No.4
No.5
×
30
30
20
20
10
10
pressure [KPa]
pressure [KPa]
ことから圧力振動が減少したものと推察した。
0
-10
-20
0
-10
-20
-30
-30
0
2
4
6
time [s]
8
10
0
2
4
6
8
10
time [s]
0
50
第 7 図 非凝縮性ガスの含有の有無(0%、50%)の比較結果
4
まとめ
低温水中での蒸気凝縮時の挙動について、ガス放出ノズ
No.2
No.3
ルの向きの影響はなく、既往研究の知見を実機の影響評価
に活用可能なこと、及び非凝縮性ガスを含んだ蒸気凝縮に
No.1
第 6 図 実験で得られた蒸気凝縮の状態図
よる凝縮振動が小さくなる傾向を得たこと等、今回の基礎
研究を通し、フィルタベント設備の信頼性向上に資する知
見を得た。
第 3 図~第 5 図に示す通り、蒸気凝縮の状態変化を適切
に観察できたこと、及び第 6 図のとおり、状態変化につい
て既往研究と同様な傾向を示していることから、今回構築
した実験装置の妥当性を確認できた。
参考文献
[1] I. Aya, H. Nariai and M. Kobayashi, Pressure and Fluid Oscillations in
Vent System due to Steam Condensation, ( Ⅰ ), ( Ⅱ )
技術開発ニュース 2024.03/No.168
78
- ▲TOP