技術開発ニュース No.169

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研 究 成 果
Results of Research Activities
「電気ヒータ式茶焙煎機」の開発
Development of the electric heater type tea roasting machine
~業界初の電気による焙煎の取り組み~
開発した電気ヒータ式茶焙煎機は、ブレンドした荒茶の香りを引き立てるための熱処理
を施すもので、製品化前の最終工程に使用する。
開発装置は、1 段目のコンベアには、振動コンベアを採用した。その目的は、5%程度
の水分を含む荒茶の水分がコンベアに付着し、荒茶が付着しないためである。2 段目のコ
ンベアには、スチールベルトコンベアを採用した。その目的は均一な熱処理を施すこと
で、香を引き立てるためである。
執筆者
先端技術応用研究所
先端技術ソリューショングループ
河村 和彦
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第 1 表 小型焼成炉による焼成条件
背景・目的
煎茶製造の仕上げ加工工程の一つである火入れにおいて
は、従来、ガスバーナーを熱源とする焙煎機が用いられ
ていますが、環境意識の高い食品業界や飲食業界からは煎
茶の製造工程での脱炭素化が求められており、電化に高い
ニーズがある。
また、火入れは、煎茶の味や香りを調整し、品質を左右
する重要な工程であり、茶師(ブレンド、火入れ、選別等
の仕上げ加工を行う職人)の経験と勘に基づいた時間、温
度の管理が必要となるが、近年は高齢化や人材不足による
技術継承が課題となっている。
第 2 表 焙煎後の官能評価
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課題・取組
第 1 図に示す小型焼成炉を使用して焙煎試験を実施し
た。小型焼成炉の熱板上に供試用の茶葉を置いて、第 1 表
に示した加熱条件(上下ヒータの温度、火入れ時間、攪拌
の有無など)を変えて、火入れの品質評価を実施した。そ
の結果を第 2 表に示す。その結果、1- ⑤の時、良好な火入
れが得られた。
火入の処理時間は、トータル 3 分であり、途中で攪拌を
行い、2 度の熱処理を施した。1 度目は、蒸発した水分が
熱板に付着したので、接着面のみ加熱される懸念があり、
攪拌操作が均熱処理に有効に利いたと考察した。
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開発品の概要
カワサキ機工株式会社と共同で、業務用の茶焙煎機にお
いて焙煎にかかる全ての工程を電化した商品としては業界
初となる電気ヒータで茶葉を火入れ(焙煎)できる「電気
ヒータ式茶焙煎機」を開発した。開発機の主な仕様を第 3
表、外観を第 2 図、機器の構成を第 3 図に示す。
(閉じた横側)
第 1 図 小型焼成炉による加熱試験の様子
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技術開発ニュース 2025.03/No.169
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