技術開発ニュース No.169

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研 究 成 果
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性能試験結果
給気温湿度の制御性を確認するため、中部電力の空調試
メリットが得られる。また、同じヒートポンプを用いた水
噴霧・気化式に対しても、WETCOM Ⅱでは、冬季の温水
温度を低減できるため、ヒートポンプの効率が高く、CO2
排出量およびランニングコストをさらに低減できる。
験室にて、WETCOM Ⅱの性能試験を実施した。第 4 図と
第 5 図に夏季条件と中間季条件での試験結果を示す。夏季
条件では夕立を想定して、急激に外気温度が低下、湿度が
上昇する条件を模擬した。中間季は、早朝から昼過ぎまで
第 1 表 試算条件
想定
中部地域の塗装ブース
機器構成
蒸気式:ガスボイラ+冷専チラー+AHU※
水噴霧・気化式:冷温水HP+再熱用HP+AHU※
外気温湿度が変化し、暖房条件から冷房条件に切り替わる
条件を模擬した。
こうした外気温湿度の変化に対しても、WETCOM Ⅱ
の吹出温湿度は安定し、設定温度 24℃に対して ±0.2℃以
内、設定湿度 60%に対しては、暖房から冷房条件に切り替
わるタイミングで若干の変化が見られたものの、±4%以内
と制御性が高いことを確認した。
WETCOM Ⅱ:冷温水 HP +再熱用 HP +開発機
温湿度
ブース内温度 26℃、相対湿度 60% 一定
給気風量
1,600m3/min
稼働時間
5,000 時間 / 年
CO2 原単位
電気:0.421 kgCO2/kWh
ガス:2.05 kgCO2/m3
ランニング
コスト
中部電力のガス料金、
電気料金メニューを使用
※ AHU:エアハンドリングユニット
第 4 図 夏季条件(夕立を模擬)
(a) 年間 CO2 排出量の比較
(b) 年間ランニングコストの比較
第 6 図 年間 CO2 消費量とランニングコスト比較
第 5 図 中間季条件(冷暖切替を模擬)
4
導入効果試算
5
まとめ
WETCOM Ⅱは、中部電力ミライズ(株)が機器説明お
よびエネルギー試算を行い、アンデックス(株)が販売を
中部地区の塗装ブースを想定し,従来の蒸気加湿を有す
担当している。
るシステム(蒸気式)、水噴霧式もしくは気化式加湿を有
WETCOM Ⅱは塗装ブースだけでなく、オールフレッ
するシステム(水噴霧・気化式)、WETCOM Ⅱによるシス
シュで高い温湿度制御が要求される用途(クリーンルー
テムでの年間 CO2 排出量とランニングコストを試算・比較
ム、シール乾燥用高温高湿ブースなど)に適用できる。高
した。試算条件を第 1 表に示す。その結果、WETCOM Ⅱ
い省エネ性・環境性や高いメンテナンス性を持つ本システ
によるシステムは、従来の蒸気式に比較して、CO2 排出量
ムの採用により、お客さまが進める工場の脱炭素化に貢献
とランニングコストはともに 71%削減可能であり、大きな
できる。
技術開発ニュース 2025.03/No.169
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