技術開発ニュース No.169

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研 究 成 果
Results of Research Activities
暮らしにおける快適性および省エネ技術の定量評価
Research on technologies supporting energy efficiency and comfort in daily living.
就寝時の採暖器具の使用による快適性と省エネ効果、
洗濯機の効果的な使用方法について
昨今の電気料金の高騰により、快適かつ省エネな暮らしへの関心が高まっており、中部
電力ミライズは家庭向け Web サービスにて、様々な暮らしの知恵を発信している。本研
究では「冬期の省エネで快適な就寝方法」と「洗濯機の効果的な使用方法」について、恒
温恒湿室での被験者試験および住宅用環境実験棟における、家電の消費エネルギー分析
を、摂南大学との共同研究により行った。
執筆者
先端技術応用研究所
EaaS グループ
久保田 潮
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電気あんかや電気敷毛布の活用による
快適性と省エネ効果について
(1) 実験概要
少ない電力量で身体を局所的に温めることによる快適
性・省エネ効果について評価するために、摂南大学の恒温
恒湿室にて、20 代の学生 5 名を対象とした被験者試験を実
施した。試験のフローチャートは第 1 図の通りであり、身
第 2 図 部位温冷感および快適感の申告結果
体各部位の快適感や温冷感に関する心理申告を実施した。
実験条件は第 1 表の通りであり、事前にサーマルマネキン
(様々な環境下における人体皮膚温を模擬的に測定できる
実験機器)を用いて、各種寝具や室温の条件を変えた時の
表面温の測定結果をもとに設定した。
第 3 図 実験中の温冷感申告結果の推移
第 1 図 被験者試験のフローチャート
第 1 表 被験者試験の実験条件
条件
室温
寝具
①
20℃
合掛布団(基準)
②
14℃
+肌掛布団、毛布、電気あんか(強)
③
14℃
+肌掛布団、毛布、電気敷毛布(強)
(2) 実験結果
イ 電気あんか・電気敷毛布による省エネ効果
一回の就寝(7.5 h 想定)あたりの各実験条件における
消費電力量の比較を第 4 図に示す。AC 設定を 6℃下げて、
電気あんかを用いることで 1.08 kWh(▲ 28.2%)、電気敷
毛布を用いることで 1.07 kWh(▲ 27.9%)の省エネとな
る。アの結果と合わせて、入眠時に身体末端部の冷えが気
になる場合は電気あんかを、就寝直後の温冷感の低下を防
ぎたい場合は電気敷毛布を使用することが有効である。
ア 電気あんか・電気敷毛布の活用による快適性
就寝 45 分後の身体各部位の温冷感および快適感の申告
結果を第 2 図に、実験室入室前後および就寝 45 分後の温
冷感の変化を第 3 図に示す。電気あんかを用いることで、
足先の温冷感が上昇するだけでなく、頭部や全身の温冷感
も条件①と同程度まで上昇する。さらに快適感も条件①と
同程度の結果となっていることから、足先のような身体の
末端部を局所的に温めることで快適な入眠が期待される。
また、条件①や②においては、就寝直後に温冷感の低下
が見られたが、電気敷毛布を用いることで、就寝直後の温
冷感の低下を防ぐことが可能である。
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技術開発ニュース 2025.03/No.169
第 4 図 就寝一回(7.5 h 想定)あたりの消費電力量 .
AC 消費電力量は住宅用環境実験棟にて測定
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