技術開発ニュース No.169

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研 究 成 果
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洗濯機の効果的な使用方法について
(1) 実験概要
イ まとめ洗いと小分け洗いの比較
洗濯重量(2・4・6 kg)の洗濯物を標準コースで洗濯
した時の水量および消費電力量の比較を第 8 図に、洗濯 1
回あたりにかかる金額の比較を第 9 図に示す。洗濯重量
洗濯機の効果的な使用方法を評価するために洗濯機の各
が増えるほど、1 回あたりの消費電力量は増加し、洗濯重
種コース(標準・つけおき・おいそぎ・念入り)を使用し
量を 4 kg から 6 kg に増やすと消費電力量は約 1.4 倍とな
た場合と、一回の洗濯物量を各種重量(2・4・6 kg)に
る。一方で、洗濯物 1 kg あたりの消費電力量で比較する
した場合の洗濯に要した時間、水量、消費電力量、洗浄度
と、洗濯重量 6 kg で洗濯した場合が最も消費電力量が少な
について測定を行った。 洗浄度は、5 cm 角の布に汚れを
くなり、洗濯重量 4 kg の場合と比較して、約 8% の削減と
塗布した人工汚染布を洗濯物に縫い付け(第 5 図)、洗濯前
なる。以上の結果から、ある程度のまとめ洗いにより、省
後の汚染布の表面反射率により判定した。
エネ・時短効果が期待される。
第 5 図 原布および汚染布(a)と汚染布をシーツ(b)、長袖 Tシャツ
(c)、タオル(d)、ハンカチ(e)に縫い付けたもの
第 8 図 洗濯一回あたりの消費水量と消費電力量の比較
(2) 実験結果
ア 各種洗濯コースによる比較
一回の洗濯物量を4 kgとし各種コースで洗濯した時の水量
および消費電力量の比較を第 6 図に、洗濯時間と洗浄度の比
較を第 7 図に示す。最も省エネとなったのは、おいそぎコー
スであり、標準コースよりも水量は18.8%、電力量は 55.3%
の削減となる。一方つけおきコースと念入りコースは、標準
コースよりも水量や電力量を多く消費し、洗濯時間も長くな
るが、洗浄度は高い結果が得られた。以上の結果から、省エ
ネ・洗濯時間・洗浄度を等しく考慮する場合は、標準コース
が適しているが、それぞれの優先したい項目に応じて、洗濯
コースを使い分けることで効果的に洗濯を行うことができる。
第 9 図 洗濯重量 1kg あたりの消費水量と消費電力量の比較
3
まとめ
本研究では日常の小さな工夫でできる省エネについて、
実際の生活環境や使用状況を再現し、評価を行った。就寝
時に電気あんかや電気敷毛布を用いて寝具を温めておくこ
とにより、AC の設定温度を 6℃下げても、身体末端部の温
冷感上昇により高い快適感を得られることや、就寝直後の
温冷感の低下を防ぐといった効果が得られる。洗濯におい
第 6 図 各種コースの消費水量と消費電力量の比較
ては省エネや時短など優先したい項目によって洗濯コース
を使い分けることや、洗濯重量を設定することで、効率的
に洗濯を行うことが可能である。
これらの実験結果は、お客様 WEB サービス「カテエネ」
のコラム「カテエネ研究所」にて発信を行っている。「カ
テエネ研究所」では、他にも暮らしにおける豆知識につい
て、省エネや快適性の効果を確認するための各種実験を紹
介している。今後もお客様の関心事に注目し、お客様に省
エネ行動を促すとともに快適な暮らしを実現できる工夫に
第 7 図 各種コースの洗濯時間と洗浄度の比較
ついて情報発信を続けていきたい。
技術開発ニュース 2025.03/No.169
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