技術開発ニュース No.169

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研 究 成 果
Results of Research Activities
洞道内単心ケーブルのスネーク方式改善に向けた
検討
Study on Improvement of Snaking Method for Single-core Cable in Tunnel
スネーク管理範囲見直しによる施工省力化の実現
執筆者
中部電力パワーグリッド
エンジニアリングセンター
設備技術グループ
山本 直人
従来の洞道内単心ケーブルのスネーク形成作業において,多くの人員と時間を要してい
ることから,省力化のニーズが顕在化している。そこで,スネーク幅の管理範囲を見直し
た新たなスネーク布設方式の考え方を提案し,実機試験を行った結果,現場への適用が可
能であることを示した。
1
はじめに
洞道内に布設する地中送電線用単心ケーブルは,通電時
今回,新たなスネーク設計の考え方を採用することで,
スネーク幅の管理値を 200 ~ 270mm(管理範囲 70mm)
に拡大することとした。これは従来の管理範囲の 2 倍以上
の値となる。
の温度上昇に伴う熱伸縮対策として,あらかじめ所定の
ピッチ,幅で連続してケーブルを蛇行させる縦スネーク方
「 軸力差 > 支持金物拘束力 」の場合、ケーブル移動が発生
ケーブル移動
軸力(幅大)
軸力(幅小)
式が一般的に採用されている。
ケーブル延線後に実施されるスネーク形成作業におい
て,金属被付き大サイズケーブルの場合,ケーブルの剛性
スネーク幅
大
が高いため,人力でスネークを形成するのに苦慮している
支持金物
スネーク幅
小
ことに加えて,スネーク幅を公差十数ミリの幅で管理して
いることから,多くの人員と時間を要しており,布設作業
第 1 図 新たなスネーク方式のイメージ図(低温時)
省力化のニーズが顕在化している。
そこで,スネーク形成作業の省力化に向けて,スネーク
幅の管理範囲を見直すことで,厳密な施工管理が不要とな
る新たなスネーク布設の考え方について検討した。
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実機試験
検討対象のケーブル仕様は 275kV CSZV 1×2500mm2
新たなスネーク設計の考え方について,現場適用の可否
(t=27mm,ステンレス被 ),布設方式は縦スネークとした。
を確認するため,実際の設備を用いた熱挙動試験を実施
した。
2
新たなスネーク設計の考え方
(試験条件)
試験条件を第 1 表,試験装置の全体概要を第 2 図,試験
従来のスネーク作業は,スネーク幅が 235 ~ 265 mm
状況を第 3 図に示す。スネーク幅のアンバランスについて
(管理範囲 30 mm)となるよう施工管理されている。そ
は,第 2 図の T6-T7 間で模擬しており,S5 箇所で中間拘
のため,支持金物上(変曲点)での軸力差は小さく,また
束クリートによりケーブルを把持した。熱挙動試験では,
支持金物における摩擦力(拘束力)以下となることから,
T6-T7 間のスネーク幅のアンバランスの変化を確認した。
ケーブルは当該スネークのピッチ内で挙動し,隣接ピッチ
また,スネーク幅については,1 回目の試験(試験 A)
へのケーブル移動は発生しない。
では,今回の管理範囲として設定した 200 ~ 270 mm,2
今回検討した新たなスネーク設計の考え方は,スネーク
回目の試験(試験 B)では,より過酷な条件である 200 ~
形成作業の省力化を図るため,他回線や床面等に干渉しな
300 mm を目標値として設定した。
い範囲でスネーク幅の公差を緩和し,ピッチ間のケーブル
移動を許容することとした。第 1 図に示すとおり,スネー
ク幅の大と小の間で軸力差が発生し,ケーブルは最大軸力
が発生する低温時にスネーク幅の小さい側へケーブルが引
き込まれることで,スネーク幅が大きくなり,次第に軸力
差が初期値より小さくなる。理論上,軸力差が支持金物に
おける拘束力以下となるまでケーブルが移動を繰り返し,
スネーク幅のアンバランスが解消されることになると考え
られる。
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技術開発ニュース 2025.03/No.169
第 1 表 試験条件
項目
試験 A
試験 B
ケーブル仕様
275kV CSZV 1×2500 mm2
スネークピッチ
5,950 ~ 6,050 mm×8 ピッチ
中間拘束クリート
S5
スネーク幅(目標値)
200 ~ 270 mm
200 ~ 300 mm
ヒートサイクル
(8h オン 16h オフ)
10 日
11 日
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