技術開発ニュース No.169

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- 研 究 成 果
(3)
ログイン認証用サーバの開発
セキュリティ強化を目的に、スマートメーターシステム
の認証機能との連係によるユーザ認証機能を具備するた
め、ログイン認証用サーバを開発した(第 2 図)。
配電自動化メインサーバ
ログイン認証用サーバ
①情報入力
②情報確認
④認証
③確認結果
SMシステム
アカウント連係
3
(1)
効果の一例
システム障害の復旧時間短縮
サーバ集約にて、出向時間の短縮に加え、専任保守員に
よる原因調査に必要なログ取得の迅速化や、サーバ再起動
等の簡易な復旧操作といった保守体制の強化により、6 時
間以内の障害復旧を実現した(第 4 図)。
集約前
初動対応
ベンダーコール
異常検知
最大
1.5時間
最大
5時間
現地出向
調査
(復旧)
系統運転員
第 2 図 ログイン認証用サーバの概要
(4)
集約後
集約サーバのシステム構成
異常検知
保守体制の強化
による短縮
拠点集約
による短縮
初動対応
ベンダーコール
現地出向
集約サーバは、仮想化技術を用いて開発し、物理的な
6時間以内
(これまでの実績:2.5時間)
サーバ台数の削減を検討した。サーバ台数の削減にあたっ
ては、既存のデータ処理負荷だけでなく、将来の拡張性に
も考慮して慎重に検討した。また、大規模災害等にて拠
点が被災した場合に、配電自動化システムに関連した業
調査
(復旧)
第 4 図 システム障害の復旧時間短縮イメージ図
(2)
ソフトウェア更新期間の短縮
ソフトウェア配信支援機能の開発および、サーバ集約によ
務(系統運転業務全般)が全社的に不能となるリスクに備
る環境整備により、
「ベンダー出向箇所の削減」、
「ソフトウェ
え、拠点とは別の場所に災害対策環境を構築し、可用性を
ア自動配信」、
「専任保守員による一括更新」が可能となり、
向上した(第 3 表)。
不具合やセキュリティ対応の迅速化を実現した(第 4 表)。
第 4 表 ソフトウェア更新期間の短縮
第 3 表 集約サーバのシステム構成
集約サーバ
機能サーバ
既設
新規
集約拠点
分散サーバ
災害環境
(参考)
配電自動化メインサーバ
4台
4台
60台
20kV級配電線用サーバ
1台
1台
3台
給制システム連係用サーバ
1台
1台
11台
6台
支社間連係用サーバ
1台
1台
システム管理用サーバ
1台
1台
ログイン認証用サーバ
1台
1台
合計サーバ台数
分散サーバの対応期間
(3)
集約サーバの対応期間
配信
5日
配信
1日
更新
10日
更新
1日
合計
15日
合計
2日
コスト
分散サーバにて、災害対策環境構築およびセキュリティ
対策を実施した場合と比較し、サーバ集約にて約 48% のコ
スト低減を実現した(第 5 図)。
18台
80台
+0.08
セキュリティ対策
(5)
災害対策環境
1.00
(基準)
サーバ集約スケジュール
当初のサーバ集約スケジュールは、サーバの定期更新計
分散設置
1.00
(基準)
画を踏襲した 9 年で計画していた。サーバ集約を進める過
程で蓄積したノウハウや技術向上などにより移行作業を
集約前
効率的に進めることで、スケジュール(もしくは計画)を
34% 削減した。
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
2026
前倒し
移行
前倒し
移行
移行
移行
4
まとめ
を実現し、高度なシステム管理・運営体制を確立した。今
前倒し
移行
集約後
理化」とともに、スマートメーターシステムとの一体運用
20kV級配電線用サーバ
開発・試験
拠点集約
0.72
サーバ集約により、「高信頼性確保」と「保守運用の合
給制システム連係用サーバ
開発・試験
セキュリティ対策
0.04
2027
支社間連係用サーバ
開発・試験
災害対策環境
0.32
第 5 図 コスト低減の実績
約 3 年半前倒しの約 5 年半でサーバ集約を実現した(第 3
図)。これにより、当初の計画からランニングコストを約
48%の
コスト削減
移行
移行
後も、安定かつ効率的な運用ならびに、様々な環境変化に
対応していく。
配電自動化メインサーバ
前倒し
開発・試験
移行
災害対策環境
開発・試験
第 3 図 サーバ集約スケジュール
移行
参考文献
1) https://www.ipa.go.jp/archive/digital/iot-en-ci/jyouryuu/hikinou/
ent03-b.html
技術開発ニュース 2025.03/No.169
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