技術開発ニュース No.169

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研 究 成 果
Results of Research Activities
高効率・高出力アルミ反射ヒータの開発
Development of High-efficiency, High-power Aluminum Reflective Heaters
高出力でも溶けない汎用的な反射筐体
執筆者
これまで中部電力ミライズは、脱炭素社会を実現するため、製造業のお客さまに対して
CO2 を多く排出する加熱工程での高効率な電化を実現してきた。このたび、片面加熱プ
ロセスに適用できるよう、加熱効率を徹底的に追求しつつ、ガス燃焼の代替になるレベル
まで出力を上げても故障しないヒータユニットを開発した。
中部電力ミライズ
法人営業本部ソリューションセンター
村田 昂平
1
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背景および目的
今日、2050 年のカーボンニュートラル実現や安全、工
開発概要
(1) 課題抽出
程のオートメーション化といった観点より、製造業のお客
既製品が高出力化できない要因として、以下 2 点が挙げ
さまでガス加熱からの電化が求められている。このニーズ
られる。
に対して,中部電力ミライズは要素電気加熱技術を用いた
① 反射される光が焦点に集光される
革新的な加熱装置の開発に取り組んできた。
② 放熱性能が不足している
一つの開発事例として、ア
①については、第 3 図(a)光シミュレーション結果よ
ルミ低圧鋳造の金型予熱に
り確認できるように、焦点距離付近で光が集光している。
てガスバーナ式から赤外線
一方で焦点距離から離れた場合光が散乱してしまい加熱効
式 に 置 き 換 え を 実 現 す る、
率が著しく低下する。そのため、高効率に加熱を行うため
300kW/m2 というガス燃焼
にはヒータとワークの距離を近づける必要があり、その結
と同等程度の加熱能力を持っ
第 1 図 赤外線式金型加熱器
た加熱装置を開発している。
果ワークからの反射熱で筐体自身の温度が上昇してしまう
という課題があった。
この金型加熱装置は多くの企業、工場さまの金型予熱工
程へ横展開されているが、上型と下型への両方向加熱を目
的とした装置である。しかし、製造業の加熱プロセスとし
ては熱源から見て片面を加熱する工程が大半を占めている。
電気ヒータは全方位に光を照射するため、片面加熱の場
合赤外線に指向性を持たせる必要がある。そこでミライ
ズではヒータ 1 本ごとにアルミ製の反射板を取り付けた既
製品の片面高効率ヒータを用いて片面加熱プロセスの電化
検討を行ってきたが、既製品ではアルミ反射板の耐熱温度
の制約より、高出力化が難しく、ガスからの転換の障壁と
なっていた。そこで今回、赤外線加熱装置と同等の片面
150kW/m2 という高出力かつ、既製品よりも優れた加熱
(a)既製品 (b)開発品
第 3 図 光シミュレーション結果
効率 60% を実現する片面加熱装置を開発した。
片面 150kW/m2 の高出力を達成するため、第 4 図に示
すような高出力に耐えられるアルミ反射筐体として反射面
および放熱面の設計・開発を行った。
第 2 図 開発目標(出力・効率)
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技術開発ニュース 2025.03/No.169
第 4 図 開発品
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