技術開発ニュース No.169

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研 究 成 果
(2) 開発品の特徴
開発品は以下の特徴を有している。
① 平行光照射
(2)空冷状態での検証
既製品は空冷下においても 150kW/m2 の高出力で運転
すると筐体温度が 250℃を超えてしまうが、開発品空冷下
反射面形状の改良により、反射した光は平行に照射
のもと 150kW/m2 で運転し、サチレーションした後の温
される(第3図 (b) を参照)ため、ヒータ・ワーク間
度プロットは第 6 図の通りであった。なおサチレーション
距離が離れても加熱効率が下がりにくい。結果、ワー
した時の加熱効率は 69% であった。
クから筐体への反射熱負荷を低減できる。
以上より、開発目標であった片面 150kW/m2 という高
② 放射性向上
出力かつ、既製品よりも優れた加熱効率 60% を実現した。
反射筐体の最も熱負荷が大きい箇所を肉厚にするだ
けでなく、放熱面を黒色に表面加工することで放熱能
力を向上。
③ 施工性向上
既製品の取付方法はボルトナット式のため、振動等
によるヒータ脱落リスクがあったため改良。組付に要
する時間の短縮。
④ QCD の向上
既製品は海外製の反射筐体を使っているため、為替
等の調達リスクがあるが、本筐体は岐阜営業本部と電
気需給契約しているアルミ押出メーカに製造依頼。
3
開発品の検証
第 6 図 温度特性(空冷下)
4
適用例
反射筐体はアルミ製のため、250℃を超えないよう運用
第 7 図(a)は、シート状ワークをシュバンクバーナに
する必要がある。そこで既製品と開発品を用いて同条件で
て粗乾燥する工程であり、(b)は、インゴットケースをガ
加熱試験し、筐体の温度を確認した。
スバーナにて予熱する工程である。どちらの工程において
もガスからの電化検討を行っており、どちらも転換可能な
(1)無空冷状態での検証
レベルの昇温特性であることを確認している。
550mm×550mm×20mm の黒色板をヒータ 1 本で無空
冷下のもと加熱した際の筐体・ワーク温度プロットを第 5
図に示す。なお、ヒータ出力を既製品最大の 120kW/m2
とし、ヒータ・ワーク間の距離は 100mm である。筐体温
度が 250℃に到達する時間を比較すると、開発品は既製品
の 2.8 倍の時間運転可能であることが確認できる。また、
ワーク温度を比較しても、開発品の方が優位であり、加熱
効率も向上していることが確認できる。
(a)シュバンクバーナからの転換 (b)ガスバーナからの転換
第 7 図 検討事例
5
今後の展開
本ヒータは 2025 年度より中部電力ミライズブランドと
して販売を開始する予定である。今後、製造工程の数十℃
~数百℃の中温域加熱プロセスへの展開により、お客さま
第 5 図 温度特性(無空冷下)
の CN、安全、工程のオートメーション化といった社会課
題の解決に貢献していきたい。
技術開発ニュース 2025.03/No.169
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