技術開発ニュース No.169

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研 究 紹 介
第 4 図 鉄塔の骨格座標抽出・骨格推定結果
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電線の形状推定・実長計算
送電線を張り替える際には電線の実長が必要になる。
第 6 図 樹木のメッシュ化結果
(2)風車の形状推定
風車などの大規模構造物の形状を把握するのにも本研究
本研究ではドローンによるレーザー測量で取得した点群
の結果が役立つ。例えば風車の点検ロボットを開発した
データから電線の形状を推定し,自動で実長計算する手法
り,ドローンで点検する際には正確な位置座標が必要とな
を考案した。概要を第 5 図に示す。取得した点群をセマン
るが,点群データをそのまま扱うとデータ容量が大きくな
ティックセグメンテーションにより識別し,電線やジャン
る。そこで,第 7 図に示すようにブレード・ハブ・ナセル
パー線部分のみを抽出して点群から骨格となる曲線を算出
等構造毎に識別し,例えばブレード部分のみを抽出可能と
することで実長を計算する。
した。
第 7 図 風車の形状推定結果
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第 5 図 電線の形状推定結果
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その他の活用方法
(1)樹木のメッシュ化
まとめ
ドローンやヘリコプターで取得した三次元点群データか
ら重要な骨格座標や骨格形状を推定する技術を開発した。
深層学習によるセマンティックセグメンテーションで鉄
塔・電線・がいし等を識別できた。精度面ではまだ向上の
余地があるが実用の可能性が示唆された。また,今回はド
樹木を三次元データで扱うと樹木と他物の離隔やドローン
ローンにより取得した点群を処理した結果を示したがヘリ
の航路の危険エリア設計などに役に立つが,点群データで
コプターによる点群は点密度が低いことなどから処理の課
樹木を取扱う際にそのままのデータで取扱うとデータ容量が
題があるため,今後検討していく。
非常に大きくなる課題がある。本研究では膨大な点群デー
タを必要な部分だけ選択するメッシュ化をすることで容量を
圧縮することができた。従来手法では計算時間が 600 秒~
9 日かかっていた処理を 6 ~ 70 秒で完結する手法を考案し
【参考文献】
(1) Lin Li, et.al:“An Improved RANSAC for 3D Point Cloud Plane
Segmentation Based on Normal Distribution Transformation Cells”,
remote sensing,9,5,433 (2017)
た。第 6 図にメッシュ化した樹木の概要を示す。ボックスご
とに細分化した点群にメッシュ化処理を行うことで高さなど
の重要な情報は残したうえでメッシュ化することができた。
技術開発ニュース 2025.03/No.169
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