プレスリリース バックナンバー(2010年)

阿摺水力発電所における無許可工事などに関する調査結果について

2010年7月16日

中部電力株式会社

当社は、阿摺水力発電所の無許可工事などについて、本店内に調査委員会を設置し、発生原因の詳細および責任の所在、ならびに越戸水力発電所を含む豊橋河川事務所管内の他の水力発電所における同種事案について調査いたしました。

2010年7月7日お知らせ済み

本日、その調査結果について中部地方整備局長に報告いたしましたのでお知らせいたします。

 

1.報告書のポイント

(1)阿摺水力発電所における冷却水配管類の撤去および復旧工事

ア.撤去工事について
【問題点】

当社は、豊橋河川事務所に対して、誤った判断により事前におこなうべき冷却水配管類の撤去に関する事前相談を実施しないまま、2008年10月に工事を開始し、2009年3月に完工いたしました。

【原因】
  • 工事を説明する資料は、申請の要否を判断できる事項・情報が必ず盛り込まれるような様式に整えられていなかったため
  • 工事説明資料を作成した岡崎支店豊田電力センター(工事実施部署)、岡崎支店技術部発変電課(発変電に係る業務の統括部署)と河川法の申請を担当する岡崎支店技術部土木建築課との間で意思疎通が不足し、工事内容の確認が不十分であったため
  • 岡崎支店技術部発変電課および同支店豊田電力センターは、発電用水の流路改築工事に関連して行う冷却水配管類の撤去が、事前相談の対象となる流路を形成する工作物の改築に該当するという認識がなく、判断を誤ったため
【責任の所在】
  • 撤去工事に携わったのは岡崎支店の各担当部署であり、直接的な責任は各担当部署にあると考えております。しかし、今回の根本的な原因は、河川法に基づいて、適切に事前相談をおこなうための業務の手順や方法が不十分な点にあったと考えております。したがって、その責任の所在は、業務体制を管理する本店工務部、および土木建築部にあると考えております。

 

イ.復旧工事について
【問題点】 

岡崎支店技術部発変電課は、2009年9月、真弓水力発電所(豊田市川手町シタシロ)の申請手続き漏れが発生した際に、豊橋河川事務所のご指導により、「河川水が流れる配管類の改築には、事前相談が必要である」と認識いたしました。

しかしながら、岡崎支店技術部発変電課は必要な事前相談をおこなわず、豊橋河川事務所に対して撤去工事の事実を隠したまま、復旧工事を岡崎支店豊田電力センターに指示し、同年11月に完了させました。

また、復旧工事の実施にあたり、岡崎支店豊田電力センターは、同支店技術部発変電課と相談のうえ、架空の件名を立てて、工事費用を不適切な方法で確保しておりました。

【原因】
  • 岡崎支店技術部発変電課は、真弓水力発電所の申請手続き漏れについてのご指導を受けている最中に、新たに発覚した阿摺水力発電所の無許可工事(冷却水配管類撤去)について、豊橋河川事務所に言い出せなかったため
【責任の所在】
  • 本件の責任は、岡崎支店技術部門の責任者と同支店技術部発変電課にあると考えております。

 

(2)事前相談をおこなわずに工事を実施した事案

当社は、阿摺水力発電所の無許可工事を受け、豊橋河川事務所管内にある全ての水力発電所(25箇所:阿摺水力発電所を含む)を対象に、同様の無許可工事の有無について調査を実施いたしました。

その結果、本来おこなうべき許可申請を実施せずに、工事を実施した事例が2件判明いたしました。

ア.越戸水力発電所における発電機冷却水配管へのドレン配管追加・復旧工事(2010年1月実施)

岡崎支店矢作川電力所は、越戸水力発電所の発電機冷却水配管の砂目詰まり対策として、ドレン配管を追加する工事を、2009年3月に実施する計画をしました。その後、停電都合により、実施時期を前倒して、2008年5月に同工事を実施しました。

同年6月、岡崎支店技術部土木建築課は、ドレン配管の追加工事が実施済みであることを知らずに、同工事について豊橋河川事務所に事前相談(注1)をおこない、申請不要とのご判断をいただきました。

(注1)結果的に事後の相談となりました。

その後、岡崎支店矢作川電力所は、真弓水力発電所の申請手続き漏れを受けた同種事例調査において、ドレン配管の追加工事は事前相談が未実施であると誤認しました。同所は、この誤認に基づき、ドレン配管の工事を実施したことを豊橋河川事務所に隠したまま、追加したドレン配管を撤去する復旧工事を実施しました。

【問題点】
  • 2008年5月に実施したドレン配管の追加工事は、豊橋河川事務所への事前相談の前におこなわれていました。
  • 岡崎支店矢作川電力所は、ドレン配管の追加工事は無許可であると誤認し、同工事を実施したことを豊橋河川事務所に隠したまま、同配管の撤去工事を2010年1月に実施しました。
【原因】
  • 岡崎支店矢作川電力所(工事実施部署)、岡崎支店技術部発変電課(発変電に係る業務の統括部署)と河川法の申請を担当する岡崎支店技術部土木建築課との間で意思疎通が不足し、工事内容の確認が不十分であったため
  • 岡崎支店矢作川電力所は、同支店技術部発変電課の判断で事前相談をおこなわずに実施した阿摺水力発電所復旧工事に倣って、ドレン配管の復旧工事をおこなってしまったため
【責任の所在】
  • 無断で復旧工事をおこなった責任については、工事に携わった岡崎支店矢作川電力所にあると考えております。
イ.賀茂水力発電所の河川側石垣擁壁へのモルタル目地補修(2009年8月実施)

岡崎支店矢作川電力所は、賀茂水力発電所の周囲柵より蔓草が侵入してくるため、河川側石垣(河川区域内)における蔓草伐採および清掃作業を、豊橋河川事務所に事前相談(申請不要とのご判断)をおこなったうえで、2008年2月に実施しました。

その後、同年夏季に、同一場所で再び蔓草などが繁茂し同様の状態となったことから、矢作川電力所は、蔓草繁茂の防止対策として、石垣へのモルタル目地補修を2009年8月に実施しました。

この際、矢作川電力所は、過去に申請不要とのご判断をいただいた場所と同一場所で実施するため同補修も申請不要である、と誤って判断し、事前相談をおこないませんでした。

【問題点】
  • 過去に申請不要とのご判断をいただいた場所と同一場所で実施する補修工事は申請不要と誤って判断したこと
【原因】
  • 岡崎支店矢作川電力所(工事担当部署)の河川法に関する知識が不足しており、事前相談が必要であると気づかなかったため
【責任の所在】
  • 事前相談が不要であると誤って判断した責任については、工事を担当した岡崎支店矢作川電力所にあると考えております。

 

2.2007年度是正協議(注2)資料の不備について

今回の調査を実施するにあたって、2007年度是正協議資料に不備がありました。

具体的には、同協議資料に未反映の機器用水、雑用水、ドレン配管が全14件あったことが判明しました(表-1)。

今後、これらの是正について、豊橋河川事務所に改めてご相談させていただきます。

(注2)「2007年度是正協議」とは、中部地方整備局から2007年5月16日に受領した「一級河川における水力発電に係る報告徴収などについて」を受け、6月18日に報告した 「冷却水・雑用水などの取水に係る是正計画」に基づく河川管理者との協議をいう。

2007年6月18日お知らせ済み

 

表-1 2007年度是正協議資料と現場照合確認結果一覧

区分

発電所

部位

内容

機器用水

賀茂

封水用配管

封水装置用配管が是正協議資料に未反映。

このため、機器用水(封水)0.002m3/sが協議漏れ。

その結果、水利使用規則に規定されず。

雑用水
分岐施設

笹戸

所内排水配管
(ジェットポンプ)

所内排水配管(ジェットポンプ)2台の内、1台が協議漏れ。

矢作第二

消火栓配管(屋外)

建物壁内の埋設配管を把握できずに協議漏れ。

雑用水(清掃用)

設備清掃用(入口弁ピット)

飯田洞

雑用水(清掃用)

設備清掃用(入口弁ピット)

2007年度是正協議の未実施発電所

押山

雑用水(清掃用)

設備清掃用(油水分離槽・入口弁ピット)

黒田

雑用水(清掃用)

設備清掃用(入口弁ピット)

2007年度是正協議の未実施発電所

川下

雑用水(清掃用)

設備清掃用(主弁ピット・制圧機ピット)

越戸

雑用水(清掃用)

設備清掃用(油水分離槽・排水ピット)

巴川

雑用水(清掃用)

設備清掃用(油水分離槽)

東大見

雑用水(清掃用)

設備清掃用(油水分離槽・水車ピット)

賀茂

雑用水(清掃用)

設備清掃用(油水分離槽)

足助

雑用水(清掃用)

設備清掃用(入口弁ピット)

白瀬

雑用水(清掃用)

設備清掃用(屋外排水ピット・所内排水ピット)

3.今後の対応

(1)豊橋河川事務所管内の当社水力発電所については、阿摺水力発電所の無許可工事に加え、今回判明した2件の無断工事に対する是正について、豊橋河川事務所に改めてご相談させていただきます。

 

(2)今回の一連の問題を受けて、豊橋河川事務所管内の水力発電所を対象に実施した同種事例調査の範囲を全社に拡大し、調査を継続してまいります。

ア.前回の調査方法の不備と改善

真弓水力発電所の申請手続き漏れに伴い実施した全社の設備調査では、調査方法に不備がありました。

具体的には、調査方法を細かく指定せず、設備の変更の有無だけを確認したため、設備の細部にまで及ぶ詳細な調査を徹底することができませんでした。

(例)「2007年度是正協議(注2)時に設備を確認した当時の図面」と前回調査時に保有していた保守・管理用の図面との照合のみとなっている場合がありました。

今回の調査では、この不備を改めて、現地において細かく設備との照合を行った結果、事前相談をおこなわずに実施した工事が3件(阿摺水力発電所の無許可工事を含む)判明しました。

イ.今回の全社調査の方法

ア.を踏まえて、今回の調査では、現地において細かく図面と設備との照合をおこなうことによって、不適切な事象の有無を確認してまいります。

 

(3)再発防止策

  • 工事説明資料の改善
    • 事前相談時に使用する工事説明資料について、河川事務所に申請要否を判断して頂くための具体的な項目が不統一であったため、これを整理し、分かりやすい説明資料に改善する。
  • 関係部署間の連携強化
    • 支店関係部署や工事実施部署から河川法申請など実施責任部署が受けた河川法令の問い合わせに対して、河川法申請など実施責任部署の長は、自部署から回答した内容を確認するとともに、未回答のものについてもフォローを確実に実施する。
    • 河川法申請など実施責任部署と工事実施部署が同席し、工事内容と河川法令の双方を把握する体制で事前相談を実施する。
  • 水利使用規則の教育強化
    • 水利使用規則の重要性を認識するため、水力発電設備に係る関係者全員(転入者はその都度)に対して、水利使用規則の教育を強化する。
  • 水利使用規則改正時の周知方法の見直し
    • 水利使用規則が改正された場合、申請部署は水力発電設備に係る関係部署へ具体的な指示や注意点を明確にしたうえで、周知を実施する。

 

本再発防止策については、調査委員会においてその有効性を検証するとともに、中部地方整備局、豊橋河川事務所などの河川管理関係省庁からのご指導もいただきながら、より実効性を有する対策の立案、定着に努めてまいります。

さらに、コンプライアンス意識の徹底を図り、信頼を損なうような誤った判断・行為の撲滅を目指してまいります。そのうえで、従業員一人ひとりがお客さまから安心、信頼していただける電気事業を継続していくことに全力をあげて取り組んでまいります。

 

(参考1)調査委員会の体制

 調査委員会の体制の図

 

(参考2)発電所の概要

 

阿摺水力発電所

越戸水力発電所

賀茂水力発電所

運転開始年月

1934年(昭和9年)11月

1929年(昭和4年)12月

1914年(大正3年)6月

最大出力

4,800kW

9,200kW

570kW

最大使用水量

40.00m3/s

62.32m3/s

0.779m3/s

 

以上