プレスリリース

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循環加温ヒートポンプ「Q-ton Circulation」の開発・販売について~地球温暖化の抑制に大きく貢献する低GWP冷媒(R454C)を日本で初めて採用~

2018年02月21日
三菱重工サーマルシステムズ株式会社
中部電力株式会社

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三菱重工サーマルシステムズ株式会社(取締役社長:楠本 馨、本社:東京都港区)と中部電力株式会社(代表取締役社長:勝野 哲、本社:名古屋市東区)は、日本で初めて地球温暖化係数(GWP)(注1)が従来の約10分の1となる冷媒R454Cを採用して環境負荷を大幅に低減するとともに業界初となる外気温度マイナス20°Cから75°Cの温水取り出しを可能とした工場向け空気熱源循環加温ヒートポンプ(注2)「Q-ton Circulation(キュートン サーキュレーション)」(注3)を共同開発いたしましたのでお知らせします。本開発機は、三菱重工サーマルシステムズが本年8月より販売を開始いたします。

工場で脱脂や部品洗浄などに用いる温水を作るため、化石燃料を使用した蒸気ボイラが広く使われていますが、最近では優れた効率により省エネに貢献するヒートポンプが用いられるようになっています。しかし、従来のヒートポンプにはGWPがCO2の約1,430倍から2,090倍の冷媒が使用されており、フロン排出抑制法(注4)の施行に伴い、冷媒の低GWP化が求められていました。

今回開発した「Q-ton Circulation」では、GWPが低いR454Cを採用し環境負荷の低減をはかるとともに、高いエネルギー効率を両立するために二段圧縮冷凍サイクルの採用、配管径の最適化などといった冷凍サイクルの最適設計を行い、COP3.3(注5)の高効率運転と、外気温度マイナス20°Cで75°Cの高温出湯を実現しました。また、迅速なアフターサービスを提供するため、IoT技術を活用し、遠隔での機器の状態監視を可能にしました。

【開発機の特徴】

1 日本で初となる低GWP冷媒の採用により環境負荷を大幅に低減

欧州で先行導入されているGWPの規制値150をクリアするR454C(GWP146)を、日本国内で初めて採用し、環境負荷を大幅に低減しました。

2 業界初となる外気温度マイナス20°Cで75°Cの高温出湯を実現

二段圧縮冷凍サイクルを採用することで低外気温時の出湯温度低下を防止、室外温度マイナス20°Cから43°Cの広い範囲で75°Cの温水供給を可能とし、工場で求められる年間加熱に対応します。

3 大幅な省エネの実現

冷凍サイクルの最適設計により、循環加温ヒートポンプとして高いエネルギー効率(COP3.3)を達成しました。例えば工場用ボイラからの更新の場合、年間ランニングコストを約67%削減可能(注6)としました。(別紙参照)

4 IoT技術を活用し迅速なサービスを提供

インターネットを介して遠隔で機器の状態を監視する三菱重工サーマルシステムズのサービス「M-ACCESS(エム-アクセス:Mitsubishi-internet-Access)」に対応予定、24時間監視により機器の不具合発生時にも迅速なサービスを提供します。

(注1)Global Warming Potential(地球温暖化係数)は二酸化炭素を基準にして、ほかの温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるか表した数字のことです。

(注2)空気熱源ヒートポンプは、熱源となる大気から熱を汲み上げることで高温の温水を作り出します。一方、水熱源ヒートポンプの場合は水を熱源として熱を汲み上げます。

(注3)「Q-ton Circulation」は、三菱重工サーマルシステムズが販売する循環加温ヒートポンプの商品名です。

(注4)フロン回収・破壊法の改正により、フロン排出抑制法(フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律)が2015年4月1日に施行され、フロン類について全過程で漏洩しないよう適切な対応を義務づけるとともに、GWPの低い代替フロンへの転換を求めています。

(注5)COP(Coefficient Of Performanceの略)は、熱源機のエネルギー消費効率を示す成績係数のことで、値が大きいほど省エネ性能は高まります。COP=加熱能力(kW)÷消費電力(kW)で、消費電力は熱源機本体の消費電力です。外部に設ける循環ポンプの電力は含みません。本開発機のCOP3.3とは、外気温25°C(相対湿度は70%)にて、温水入口温度60°C、出口温度65°Cの条件における値です。

(注6)総合効率50%のガス式ボイラシステムを熱源とした工程に屋外設置した開発機を適用した場合の低減効果です。実際の運転状態によって効果は変動します。

別紙

以上

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