プレスリリース
CFRP急速加熱装置「HDサーモⅡ/CP」の開発~CFRPの加熱時間を大幅に短縮~
2018年10月09日
中部電力株式会社
株式会社豊電子工業
中部電力株式会社(所在地:名古屋市東区、代表取締役社長:勝野 哲)および株式会社豊電子工業(所在地:愛知県刈谷市、代表取締役社長:盛田 高史)は、東芝機械株式会社(所在地:静岡県沼津市、代表取締役社長:三上 高弘)の協力のもと、産業用の炭素繊維強化プラスチック(以下、「CFRP(注)」)の加熱時間を大幅に短縮する急速加熱装置「HDサーモⅡ/CP」(以下、「本開発品」)を共同開発いたしました。
(注)Carbon Fiber Reinforced Plastic:鉄と比較し、重量4分の1かつ強度2.5倍の材料
CFRPは、軽量で高い強度を有していることから、自動車の骨格や構造部品として広く採用が期待されておりますが、CFRPの板(厚さ2~5mm)をプレス加工するために、従来機(遠赤外線式加熱装置)では約5~10分加熱することが必要であり、生産性向上を実現するために、加熱時間の短縮が大きな課題でした。
本開発品は、過熱水蒸気と電気ヒータを組み合わせて、CFRPの加熱を行います。約400°Cで吹き出した過熱水蒸気を、約500°Cの電気ヒータで昇温しながらCFRPに吹き付けるとともに、電気ヒータで直接CFRPを加熱するため、CFRPに与える熱量が高まり、従来機と比べて加熱時間を大幅に短縮しています。
また、高温の過熱水蒸気がCFRP全体を均一に加熱することができるうえに、装置内は無酸素に近い状態となることから、温度ムラや焼損といった、品質面・安全面の課題もありません。
さらに、吹き付けをした過熱水蒸気を装置内のファンで循環させ、電気ヒータで再昇温してCFRPの加熱に再利用するため、高い省エネ性を実現しております。
本開発品は、10月15日から株式会社豊電子工業が販売を開始します。
【装置概要図】
【HDサーモⅡ/CPの主な特長】
1 加熱時間の大幅な短縮
CFRP(2~5mm程度)を300°Cまで加熱する場合、遠赤外線式加熱装置では、約5~10分の加熱時間がかかっていたが、過熱水蒸気と電気ヒータを組み合わせて加熱することで、加熱時間を約30~90秒まで短縮
また、CFRPの一種で、今後の自動車用CFRPの主流と考えられているランダム材(注)を加熱する場合も、素材に過熱水蒸気が浸透して加熱を促進するため、短時間での加熱が可能
(注)長さ数十mmに細かく切断した炭素繊維をプラスチックに含有した低コストのCFRP
2 品質の安定性・安全性
高温の過熱水蒸気がCFRPを均一に加熱し、温度ムラを30℃以内に抑制
また、装置内は無酸素に近い状態となることから、焼損のおそれもない
3 高い省エネ性
吹き付け後の過熱水蒸気を再利用することで、エネルギーの無駄を低減
【基本仕様】
定格電圧 |
AC200V三相 |
---|---|
電気容量 |
加熱運転時35kW/起動時60kW |
本体寸法 |
幅1,650mm×奥行3,050mm×高さ2,250mm |
本体質量 |
700kg |
参考価格(税抜・工事費別) |
2,400万円(注) |
(注)CFRPのシートサイズ300×300mmの場合
ただし、CFRPの材料・寸法、オプション、要求性能によって異なります。
【外観】
以上