中部電力|浜岡原子力発電所運転差止裁判 - 発電所の運営に関するピックアップ情報

発電所の運営に関するピックアップ情報 浜岡原子力発電所運転差止裁判

東海地震が想定される地域で浜岡原子力発電所を運営している当社は、常に最新の知見を反映していくという考え方に基づき、耐震安全性の確保のため、たゆまぬ努力を続けています。他社に先駆けて、2005年1月から耐震裕度向上工事(注1)を実施するとともに、新耐震指針(注2)に照らした耐震安全性評価をおこない、結果(2007年1月に4号機、2007年2月に3号機)を国に報告しています。2002年4月に市民団体(原告)から提起された、1~4号機の運転差止(注3)を求める仮処分の申立て(注4)(2003年7月に本案訴訟の提訴)においては、当社の取組状況とともに「浜岡原子力発電所は想定東海地震に対しても耐震安全性を十分確保していること」を主張し、専門家の証言などにより立証してまいりました。

裁判の経過

  • 2002年4月25日仮処分事件 第1次申立て(以降、第3次まで)
  • 2003年7月3日本案訴訟 第1次提訴 (以降、第2次まで)
  • 2003年10月22日本案訴訟 第1回口頭弁論
  • 2005年9月1日2号機 現地検証 (後に、4号機も現地検証)
  • 2006年9月8日専門家への証人尋問 開始 (証人は原告・被告計11名(注5))
  • 2007年6月15日第19回口頭弁論において本案訴訟 結審
  • 2007年7月19日仮処分事件 終結(注6)
  • 2007年10月26日本案訴訟判決(および仮処分決定)言い渡し

プレスリリース

公開情報

判決結果

主文

原告らの請求をいずれも棄却する。

2007年10月26日、静岡地方裁判所において、浜岡原子力発電所1号機から4号機の運転差止を求める本案訴訟の判決および仮処分事件の判決および決定内容がそれぞれ言い渡されました。
今回の判決および決定は、同発電所1号機から4号機すべてについて運転差止請求を棄却または却下するものであり、判決および決定内容の詳細は今後検討してまいりますが、当社の主張が認められたものと考えております。
浜岡原子力発電所については、耐震性を含め安全性を十分に確保しており、引き続き、同発電所の安全性、信頼性の一層の向上を図り、安全の確保を最優先に安全・安定運転に努めてまいります。

裁判の概要

仮処分事件 本案訴訟
申立者 市民団体(1,846名) 市民団体(27名)
訴えの内容 浜岡1~4号機を運転してはならない。 浜岡1~4号機を運転してはならない。

原告の主張

原告が主張する主な争点は以下の2点です。

争点1:想定東海地震の大きさおよび浜岡原子力発電所の耐震性「東海地震によって当社の想定を超える地震動が発生する可能性がある」マグニチュード9クラスの巨大地震が起き、発電所が大きく揺れ・壊れる!

争点2:経年変化事象の影響による機器の耐震性「老朽化を避けることはできず、耐震安全上不利に働く」

主張の結論

想定を超える東海地震により、多数の機器が同時に損傷する可能性が高く、そして、安全審査ではその前提で安全性が確認されておらず、東海地震時に重大事故に至る可能性がある。

当社の主張

浜岡原子力発電所では、敷地内はもとより周辺地域も含め活断層などの詳細な調査をおこなった上で、余裕を持った耐震設計をおこなっていること、また、科学的合理的な枠組みのもとで機器の維持管理をおこなっていること、さらに、深層防護の考え方に基づく事故防止対策を講じていることから、当社は「大地震が発生したとしても安全性は確保される」と主張しました。専門家の証言などを通じて、十分立証したと考えています。

争点に関する当社の主な主張は、以下のとおりです。

項目 当社主張のポイント
争点1

浜岡原子力発電所は、想定東海地震はもとより、それを上回るマグニチュード8.4のプレート境界型地震である安政東海地震(1854年)に余裕を見た地震動に対して耐震安全性を確保しています。

  • 浜岡原子力発電所の敷地周辺南側の海域(太平洋)ではプレート境界でマグニチュード8クラスの地震が発生していますが、歴史的地震の研究により約100年~150年ごとに繰り返すという特徴や震度の分布状況などの類似性が高いことが知られています。また、東海地域では、早くから整備された地震観測網により、多くの知見が蓄積されており、「地震像」がよく分かっています。
  • 新潟県中越地震(2004年)や能登半島地震(2007年)は活断層による地震であるとされています。浜岡原子力発電所では、活断層から想定される地震が、プレート境界型で想定している地震の影響を上回らないことを確認しています。

新耐震指針に照らした耐震安全性の評価を、計画的に実施しており、旧指針に基づく基準地震動S2(600ガル)を上回る新たな基準地震動Ss(800ガル)を用い、3・4号機については、評価結果を国に報告済みです。定期点検中の1・2号機については、今後、耐震工事など実施し、耐震安全性の評価を実施した上で、運転を再開する方針としています。

争点2
  • 法令などに基づく維持管理の枠組みに従い、適切に点検・検査などを実施し、機器の機能・性能を維持管理しています。経年変化事象に対しては、設計や工法の工夫、機器の維持管理などにより、耐震性に影響を及ぼさないように対処しています。

(注1)浜岡原子力発電所では、目標地震動(約1,000ガル)に基づく耐震裕度向上工事を進めており、3~5号機は工事がほぼ完了しています。これにより、想定東海地震の地震動に対して2~3倍の余裕を持つことになります。また、新潟県中越沖地震(2007年7月)を踏まえ、浜岡原子力発電所では、積極的に、必要な対策を施すこととしています。

(注2)耐震指針とは原子力安全委員会の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」のことで、同委員会が最新の知見を反映して2006年9月に改訂し、「新耐震指針」「改訂指針」と呼ばれています。

(注3)浜岡原子力発電所の設備は、1号機(54万kW)、2号機(84万kW)、3号機(110万kW)、4号機(113.7万kW)、5号機(138万kW)の計5基です。運転差止の対象は1~4号機です。当社発電設備全体の約11%に相当します。

(注4)仮処分は、申立てにより、民事保全法に基づいて裁判所が決定する暫定的処置を求めるものです。原告は、仮処分申立て後、本案訴訟を提訴していますが、その理由として、仮処分の裁判では認められていない証拠調べの手続きである文書提出命令、検証、期日の呼出による証人尋問などによる立証活動をおこなうため、としています。

(注5)当社側の証人は、地震や安全性などに関する専門家、社員の計8人(うち1人は原告・被告の双方からの申請)です。証人調べにおける主なポイントは次のとおりです。

  • 溝上恵 東京大学名誉教授(「東海地震に関する専門調査会」座長)
    中央防災会議によって見直された想定東海地震の震源モデルは妥当である。それを基本として浜岡原子力発電所の耐震安全性を確認することは十分意味がある。
  • 入倉孝次郎 京都大学名誉教授(原子力安全委員会「耐震指針検討分科会」委員)
    当社が新耐震指針に基づき策定した基準地震動Ssは改訂指針の要請に合致したものである。
  • 班目春樹 東京大学教授(原子炉安全・保安部会「原子炉安全小委員会」委員長)
    事故防止対策の妥当性は国の安全審査で確認されており、極めて深刻な事象を想定しても事態を収束させ得る。

(注6)訴えの内容は仮処分事件と本案訴訟とで同じであり、仮処分事件は本案訴訟における記録(準備書面、証拠など)と同じものを提出することで終結しています。