プレスリリース

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慶應義塾大学病院の糖尿病・肥満症遠隔診療において医療機器メーカー各社とのクラウド連携による「拡充型血糖クラウド管理システム」の運用を開始 ―医療機器メーカー各社の簡易自己血糖測定器の情報を集約―

2022年01月27日
慶應義塾大学病院
中部電力株式会社
LifeScan Japan株式会社
アークレイマーケティング株式会社
株式会社三和化学研究所
メディカルデータカード株式会社

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慶應義塾大学病院(病院長:松本 守雄)、中部電力株式会社(代表取締役社長:林 欣吾、以下「中部電力」)、メディカルデータカード株式会社(代表取締役社長:鈴木 康之、以下「メディカルデータカード」)は、2020年11月20日より慶應義塾大学病院の糖尿病・肥満症外来において、血糖のクラウド管理システムを用いた遠隔診療を支援するシステム(以下「本システム」)の運用を開始しました(2020年12月22日お知らせ済)。

この度、本システムのデータプラットフォームを運用する中部電力と医療機器メーカーであるLifeScan Japan株式会社(代表取締役社長:佐々木 昭)、アークレイマーケティング株式会社(代表取締役社長:福永 善浩)、株式会社三和化学研究所(代表取締役社長:磯野 修作)は、患者の同意に基づいたクラウド間連携による患者データの連携について合意し、本日、拡充型血糖クラウド管理システムの運用を開始しました。

これにより、慶應義塾大学病院が遠隔診療に活用するメディカルデータカードのMeDaCaシステムを介して、医師が各医療機器メーカーのクラウドの垣根を超えて血糖値データを活用することが可能となります。

1.システムの概要

「拡充型血糖クラウド管理システム」は、中部電力のデータプラットフォームとメディカルデータカードのMeDaCaシステムを活用し、患者自身が血圧・体重・血糖値などを記録し、医師が一元的に閲覧可能な本システムの仕組みを拡充したものです。慶應義塾大学病院では2020年6月に産科外来で、2020年11月に糖尿病・肥満症外来で運用を開始しています。

2.システムにおける従来の課題

本システムは患者の同意のもと、在宅での血圧、体重、血糖値やインスリン使用量といったデータを医師が遠隔で確認することが可能となるものですが、これまでは血糖値やインスリン使用量の入力は、患者自身が手入力する負担感が課題となっていました。一方、LifeScan Japan株式会社、アークレイマーケティング株式会社、株式会社三和化学研究所などの簡易自己血糖測定器は、各医療メーカーのアプリに自動でデータ入力されるものの、医師側は患者の利用する医療機器メーカーに応じて各社のクラウドにログインする必要があり、短い診察時間の中で各社のクラウドを活用することが困難という課題がありました。

3.今回の取り組み

本日、医療機器メーカー3社のクラウドと、本システムのデータプラットフォームを運用する中部電力のクラウド連携を開始したことにより、MeDaCaシステムを介し、患者の記録データなどを医師が遠隔で医療機器メーカーや医療機関の垣根を越えてシームレスに確認できるようになり、集約された医療情報が閲覧可能となったことで、診察の質の向上が期待されます。

4.拡充型血糖クラウド管理システムの導入効果

このような連携は、病院が利用するシステムがハブとなり、各医療機器メーカーのデータをつなぎ合わせる新たなデータ連携のモデルケースになりうると考えており、このような仕組みが拡がることで、データを十分に活用したデジタル技術による新たな医療の実現に寄与できると考えています。

また、拡充型血糖クラウド管理システムは、メディカルデータカードの「MeDaCaシステム」と連動し、医師と患者のビデオ通話による診察や、患者への検査結果・処方箋控えデータなどの送信も引き続き行っており、医療機関と患者のデータを共有することで患者と糖尿病専門医、糖尿病専門医とかかりつけ医師を繋ぐ情報の架け橋としての役割も担います。

現在、MeDaCaシステムは医師が血糖値のデータをリアルタイムで確認することができるため、慶應義塾大学病院のオンライン診療で活用されており、産科における遠隔妊婦健診に加え、短期でのフォローが必要となる妊娠糖尿病や妊娠高血圧症の方、1型糖尿病などインスリン量の細やかな調整が必要な方、生活習慣や心理面を把握することが必要で対話が重視される肥満症の方にも活用されております。拡充型血糖クラウド管理システムにより、患者にとって利便性のさらなる向上が期待されます。

5.今後の展望

現在、拡充型血糖クラウド管理システムのデータ連携先の拡充を進めており、今後、ユースケースを拡大することで利便性や汎用性の改善をさらに進めてまいります。将来的にさらなる垣根を超えた情報の一元化と解析技術の開発によるシームレスなデータ連携遠隔医療システムの構築を目標とし、これからも慶應義塾大学病院、中部電力を中核として、内閣府の目指すSociety 5.0の実装に向けて開発を進めてまいります。

システムの説明図

【図1】システムの説明図

本システムが繋ぐ医療データのネットワークの図

【図2】本システムが繋ぐ医療データのネットワーク

6.特記事項

慶應義塾大学病院は、内閣府より戦略的イノベーション創造プログラム「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」の研究開発事業を受託しています。その一環として、在宅患者の見守りや遠隔診療支援、コミュニティヘルスケアサポートについて、中部電力と共同で研究を進めており、本取り組みはその成果の一つです。

われわれは、今後も、AI・IoT技術等を用いて、医師がより正確な診断を行うための支援や、医師と患者のコミュニケーションサポートなど、人々が健康的でより良い医療サービスを享受できるようなサービスの開発に努めていきます。

以上

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