プレスリリース
ドイツ・ゲーレッツリート地熱事業への参画~Eavorのクローズドループ地熱利用技術(Eavor-Loop)を活用した初の商業プロジェクト~
2023年07月14日
中部電力株式会社
当社は、このたび、Eavor Technologies Inc.(以下「Eavor」)がドイツ・バイエルン州で進めている初の地熱発電・地域熱供給プロジェクト「ゲーレッツリート地熱事業」(以下「本プロジェクト」)に参画することを決定し、Eavorと本プロジェクトの事業会社Eavor Erdwärme Geretsried GmbH(以下「本事業会社」)の株式引受契約を締結しました。
近日中に、本事業会社の株式を取得する見込みです。
Eavorは、世界に先駆けてクローズドループ地熱利用技術の研究・開発を行い、独自技術であるEavor-Loop(以下「本技術」)の商業化を目指すカナダのグローバルスタートアップ企業で、当社は、同社の株式を取得しています。(2022年10月14日お知らせ済み)
本プロジェクトでは、本技術を活用し、地下の深さ約5,000mにループを掘削・設置し、内部に水を循環させることで、地下熱を効率的に取り出し、地上でバイナリー発電(注)や地域熱供給を行います。1本目のループの掘削を2023年7月10日(現地日時)に開始しており、2024年10月に一部運転を開始する予定です。
なお、本プロジェクトは、カーボンニュートラルへの移行を実現する革新的な技術であることが評価され、欧州イノベーション基金から補助を受ける予定です。
当社は本プロジェクトへの参画を通じて、地熱事業に関する知見を獲得すると共に、今後、本技術の国内展開も検討していきたいと考えています。
当社は、グローバル事業において、再生可能エネルギーを中心としたグリーン領域、脱炭素に関するブルー領域、小売・送配電・新サービス領域およびフロンティア領域の4領域を最適に組み合わせることで、脱炭素社会の実現に貢献するとともに、さらなる収益拡大に取り組んでまいります。
(注)沸点の低い媒体を加熱し、発生させた蒸気でタービンを回す発電方式。
別紙
以上
ゲーレッツリート地熱事業の概要
1.プロジェクト概要
所在地 |
ドイツ・バイエルン州 |
---|---|
出力 |
発電:約8,200kW(発電端)/熱供給:約64,000kW |
想定年間発電電力量 |
最大約7,700万kWh(一般家庭約1.8万世帯分に相当) |
想定年間熱供給量 |
最大約5,600万kWh(一般家庭約20万世帯分に相当) |
スケジュール |
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出資会社(注) |
Eavor/Enex(約60%)、当社(約40%) |
2.設備構成図
(注) 上記の設備構成図の数値は2023年7月時点のものです
3.プロジェクトサイト位置
4.完成予想図
【参考1】Eavor社の概要
会社名 |
Eavor Technologies Inc.(Eavor Technologies Inc.) |
---|---|
本社所在地 |
カナダ・アルバータ州カルガリー |
創立 |
2017年 |
事業内容 |
Eavor-Loopの研究・開発、案件組成、サービス提供 |
代表者 |
John Redfern(President & CEO) |
出資者 |
当社、Vickers Venture Partners、bp ventures、Temasek、OMV、Chevron Technology Ventures、BHP Ventures、BDC Capital 他 |
開発中地点 |
米国ニューメキシコ州など |
【参考2】Eavor-Loopについて
- 地下の深さ約5,000mにループを掘削・設置し、内部に水を循環させることで、地下熱を効率的に取り出し、地上でバイナリー発電や地域熱供給を行う。
- 地下の熱水や蒸気が十分に得られない地域でも効率的に熱を取り出すことが可能であることから、幅広いエリアでの開発が可能であり、また、掘削後に地下の熱水や蒸気の不足により開発が中止となるリスクを回避できることが特長。
- 本技術を活用した発電は、ベースロード運転だけではなく、低需要時に地下に蓄熱し、高需要時に蓄熱したエネルギーを電力に変換する負荷追従型の調整力電源としての機能も備えており、将来的にエネルギー業界のゲームチェンジャーとなることが期待されている。