その他の記者会見

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平成29年9月度電事連・社長記者会見

2017年09月15日
中部電力株式会社

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  • 本日は、当社の「ICT活用に関する取り組み」についてお話しをします。

電力グリッドの将来像

  • 当社は、「地球環境に配慮した良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けする」という使命を果たすため、火力、原子力などの大規模電源から安定的に電力を供給できるよう、故障の早期検出、故障箇所の早期切り離しなど、ICTを活用した系統システムを構築してきました。
  • そうした中、近年は、再生可能エネルギーや蓄電池の普及に加えて、スマートメータやIoTの進展により、電力供給モデルは、従来の「大規模集中電源による遠距離送電」の形態から、太陽光発電や、風力発電など、「小規模分散電源による地産地消型の供給」が一定程度占める形態へ変化しております。
  • この変化は、15万4千ボルト以下の「ローカルグリッド」と呼ばれる送配電系統で見られ、今後は、ローカルグリッドの高度化が重要になります。
  • ローカルグリッドの高度化の一例として、6千ボルトの配電系統の運用の変化についてお話しします。
  • 従来の配電系統では、電流が配電用変電所から配電線の末端まで一方向に流れていたため、配電線の電圧は変電所の監視・制御と、配電線の途中に設置した電圧調整器で、適正な範囲に維持することが可能でした。
  • 将来の配電系統では、再生可能エネルギーや蓄電池の普及進展により、系統の電圧・電流が様々に変化するようになります。
  • このため、電力系統につながる機器等にセンサーなどを設置して系統全体を「見える化」し、きめ細やかに制御することで、電力品質を維持していく必要があります。

中部電力が目指すもの

  • エネルギー供給の分野において、再生可能エネルギー、蓄電池などの分散型エネルギー資源の普及が進んでおり、エネルギー供給のあり方が変わってきています。
  • また、身の回りのあらゆるものをネットワークでつなぐIoTや、ビッグデータの分析、AIの活用といった、いわゆる「第4次産業革命」による技術革新が、ビジネスや社会の在り方を大きく変えていくと考えられます。
  • 当社は、こうした事業環境の変化や、最新技術の動向を幅広く注視し、お客さま向けのサービス開発などに積極的に活用し、当社グループの「事業基盤の強化・高度化」、「新たなビジネスサービスの創出」の実現を目指しています。

技術戦略の体制

  • 当社は、こうした技術戦略の取り組みを加速するために、本年4月、デジタルイノベーショングループを設置し、このグループが中心となり、中部電力グループが保有する人材、技術などの経営リソースを連携させることによりシナジー効果を発揮し、アイデアの創出、新たなビジネスモデルの構築を推進しています。

ICT活用に関する取り組み

  • ここでは、当社のICT活用の主な取り組みをそれぞれ示しています。
  • 本日は、当社の主な取り組みの中から
    1. 配電系統運用の高度化
    2. 再生可能エネルギーの有効利用、地産地消
    3. 家庭向けエネルギーマネジメントサービス
    4. 火力発電所の最適運転支援システム
    5. 電柱IoT化による地域サービス
    についてご紹介しております。

豊田市バーチャルパワープラントプロジェクト

  • ここでは、将来の配電系統を見据えた取り組みについてご紹介します。
  • 本プロジェクトは、豊田市に設置されている再生可能エネルギーによる電力供給に合わせて、PHV、ヒートポンプ給湯機、蓄電池などを、ICT技術を用いて制御することにより、需要などを調整するエネルギーマネジメントをおこない、エネルギーの地産地消の実現性などを検証するものです。言わば、グリッドサービスの典型です。

コネクテッドホーム実現に向けた実証

  • 家庭においては、家電やヒートポンプ給湯機、蓄電池などのIoT化が進み、高度なエネルギーマネジメントが求められると考えており、こうした動きにより、新たなサービスの提供に繋げたいと思います。
  • その一つとして、当社では「コネクテッドホーム」と呼ばれる、家の中のモノや暮らしぶりをネットワークにつなげ、暮らしの利便性を高めた家の実現に向けた実証を今年12月より開始する予定です。
  • この実証では、電力使用データだけでなく、室内の温度や湿度、気象予測、エアコン能力などのデータも収集・分析し、エアコンの最適制御をおこないます。

AIの活用事例

  • 火力発電所においても、AIを活用したビッグデータ分析に取り組んでいます。
  • 石炭火力発電所では、約2,500点あるセンサーデータを警報装置やシステムで常時監視し、運転管理やプラント不具合発生の防止に努めています。
  • この膨大なセンサーデータを分析し、プラントの状態変化を網羅的かつ継続的に監視することにより、潜在的な異常兆候を早期に検知して、プラントの最適運転を維持するシステムを開発し、検証を実施しています。

オープンイノベーションの取り組み

  • 続いて、当社の「オープンイノベーション」の取り組みをご紹介します。
  • 外部から新たな発想と革新技術を取り入れ、サービス開発、事業展開をスピーディーかつ効率的に行う目的で、-オープンイノベーション専用Webサイト「COE(声)」-ICTを活用したサービス検証・開発用ラボである「COLab(コラボ)」を今年6月に開設しました。
  • 今年6月には街中の電柱をIoT化し、新たな地域サービスを創出する取り組みである「スマートポールプロジェクト」を含めた、3つのプログラムの募集を開始しております。
  • 東京、名古屋で説明会を実施したところ、約90社にご参加いただき、皆さまの関心の高さを感じています。

【まとめ】

  • 最後に、電力データの活用の今後の可能性についてお話しいたします。
  • 家庭につながる機器のIoT化が進展することで、家庭の膨大なデータが集まり、これを分析することでご家庭毎のエネルギーの利用状況が細やかに見えるようになります。
  • また、エネルギーのデータを、ヘルスケアや福祉、交通、運輸など、様々なサービスプラットフォームのデータと共有することで、個々のお客さまのニーズ、社会全体のニーズに応える新たなサービスの実現に繋がる可能性があります。
  • 電力使用データとバイタルデータをかけ合せることで、健康状態や生活習慣を推定し、生活改善などのアドバイスや、高齢者の方の見守りなど、行政と一体となったサービスなどの創出も考えられます。
  • 当社は、エネルギーのデータと様々なデータを活用し、お客さま毎に快適・便利な暮らしを提案する新たなサービスを創出できるよう、検討を進めていきたいと考えています。私からは以上です。

資料



以上

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