生物多様性の保全

事業活動における生態系への配慮や技術研究開発などにより生物多様性の保全に取り組みます。

環境アセスメント(環境影響評価)

事業実施にあたっては、関連法令に則り、事業が環境に及ぼす影響の調査・予測・評価をおこない、地域のみなさまからのご意見をうかがいながら、生態系に係る適切な環境保全対策を実施しています。

希少植物種、および猛禽類の保護

送電線や変電所の工事にあたっては、現地調査を実施し、影響が出そうな場所を回避したルート選択や工事工程の変更をおこないます。また希少植物種の消失を回避するために、工事範囲外への移植や工事範囲の縮小を実施し、生態系に与える影響の最小化に努めています。工事完了後は、周辺区域を元の自然環境に復元しています。

保護したオオタカを放鳥の写真
保護したオオタカを放鳥

絶滅危惧種の保護技術開発

社有地および電力設備周辺で生育が確認されたキヨミトリカブトなどの絶滅危惧種において、生理・生態の解明や増殖技術を確立し、保護しています。

サメンエビネの写真
サメンエビネ
キョウマルシャクナゲの写真
キョウマルシャクナゲ
タデスミレの写真
タデスミレ
シナノキキョウランの写真
シナノキキョウラン
キヨミトリカブトの写真
キヨミトリカブト

在来種を利用した緑化工事の研究

遺伝子レベルでの生物多様性の保全を実現に向けて環境省が公表した「自然公園における法面緑化指針」を順守するため、当社は電力設備の緑化工事に使用可能な在来種を選定して全国規模で遺伝子を調べ、遺伝子情報が同じと判断できる地域の範囲について研究を進めてきました。この研究成果をもとに、最近の設備工事では適切な地域から採取した種子や種苗を使った緑化を進めています。一方、こうした在来種のみの緑化工事事例はまだ少なく、安定した発芽条件や良好な生育の確保、シカなど野生生物の食害の影響がわからないなどの課題があります。現在、在来種で緑化した施工地のモニタリング調査を開始しています。この調査をもとに、在来種による緑化工事後の適切な管理手法を確立し、安定して健全な緑地形成ができる体制づくりを目指しています。

鉄塔下における在来種を利用した緑化工事例の写真
鉄塔下における在来種を利用した緑化工事例

特定外来種の駆除技術の開発

「アレチウリ」や「オオハンゴンソウ」といった特定外来種が、河川流域の生態系や周辺の農耕地に多大な被害を及ぼしています。当社ダム湖への侵入も確認されていることから、現地の自然植生に影響が少なく、特定外来種のみを駆除する手法を検討しました。その結果、植物成長調整剤、選択性の発芽抑制剤などを組み合わせることで、特定外来種を徐々に衰退させる薬剤散布プログラムを確立しました。
特に、被害の大きい「アレチウリ」については、生態系保全や農林水産業への被害防止の面で重要な課題であることから、研究成果を社外の方々にも広く活用いただけるよう学会や業界誌で公表しており、自治体などからの問い合わせもいただいております。

地面を覆いつくすアレチウリ(2014年8月研究開始前)の写真
地面を覆いつくすアレチウリ(2014年8月研究開始前)
アレチウリが消失した同試験地(2018年6月研究終了後)の写真
アレチウリが消失した同試験地(2018年6月研究終了後)

海の生態系改善活動

浜岡原子力発電所の周辺海域(浅根岩礁)や三重県南部地域において、地元漁業関係者との協働や産学連携などにより、藻場の回復・拡大(カジメやアラメの造成・ヒジキ場再生)など、磯焼け対策活動に積極的に取り組んでいます。

造成により繁茂したカジメの写真
造成により繁茂したカジメ
ヒジキ場再生の様子の写真
ヒジキ場再生の様子

森林ボランティア活動

2005年から森を守る活動として「ちゅうでんフォレスター」、森とふれあう活動として「ちゅうでんインタープリター」、2つの森林ボランティアの育成を実施しています。
「ちゅうでんフォレスター」は、全9回実施される座学・実技の育成プログラムを受講し、受講回数と認定試験の基準をクリアした方を、認定しています。
「ちゅうでんインタープリター」は、キープ協会のインストラクターを講師とし、自然体験プログラムの作り方・進め方・安全管理の基本的事項について、実習を交えて学習した方を認定しています。
「ちゅうでんフォレスター」とは、杉・檜などの人工林の間伐作業に必要な知識(伐採する本数・木の選定、伐採方向など)・技能(チェンソーの取扱、枝かかりの処理、伐木の処理など)を修得し、森林保全活動を実践できる人材です。2023年度までに310名を育成しています。
「ちゅうでんインタープリター」とは、「人と自然の橋渡しとなり、その時・その場所の自然が発するメッセージをわかりやすく伝える人」のことです。2023年度までに171名を育成しています。

私たちは、森を育て、人を育て、自然と共生できる社会を目指します。
森を守る活動(ちゅうでんフォレスター育成)の写真
森を守る活動(ちゅうでんフォレスター育成)
森を守る活動(森づくり体験)の写真
森を守る活動(森づくり体験)
自然とふれあう活動(ちゅうでんインタープリター育成)の写真
自然とふれあう活動(ちゅうでんインタープリター育成)

なお、「ちゅうでんフォレスター」「ちゅうでんインタープリタ―」の認定者の多くはNPO法人「水とみどりを愛する会」で活躍しています。「水とみどりを愛する会」は広く一般市民および事業者に対し、環境の保全に関する事業をおこなっています。「自然と人が共生できる社会」の実現に寄与していくことを活動目的に、週末を利用したボランティアでの人工林間伐作業や次世代層に対する環境教育支援の活動をおこなっています。

活動の様子は、「水とみどりを愛する会」のホームページ「活動報告」をご覧ください。

特定非営利活動法人「水とみどりを愛する会」ホームページ

中部電力グループ 環境・社会貢献活動

地域で活動している環境NPO・団体、行政および他企業と協働して、さまざまな環境保全活動をおこなっています。

アカウミガメの保護(特定非営利活動法人 サンクチュアリエヌピーオー)

浜松市中田島砂丘にて、社員とその家族が参加しアカウミガメの産卵調査、子ガメ観察・放流、海岸保全活動を実施しています。

鉄塔下における在来種を利用した緑化工事例の写真
鉄塔下における在来種を利用した緑化工事例の写真

フォレスターズスクール(公益財団法人 オイスカ)

大学生や社会人などを対象に森林教室(ちゅうでんフォレスターが講師)を実施しています。

鉄塔下における在来種を利用した緑化工事例の写真
鉄塔下における在来種を利用した緑化工事例の写真

モウソウチク駆除活動

名古屋市所有の緑地における外来種のモウソウチク駆除活動へ毎年参加しています。

鉄塔下における在来種を利用した緑化工事例の写真
鉄塔下における在来種を利用した緑化工事例の写真

森林間伐を促進する貢献活動

「森の町内会」のサポーター企業として、印刷物を通して中部地域の森林間伐を積極的に支援しています。中部電力がサポーター企業となった2010年度から2023年度までの間に、中部電力グループ全体で長野県の森約100.10ha(ナゴヤドーム約21個分)の間伐促進に貢献をしました。

間伐がおこなわれた健やかな森(地表まで陽が届いています)の写真
間伐がおこなわれた健やかな森(地表まで陽が届いています)

「森の町内会」については、こちらをご覧ください。

「森の町内会」のロゴ
森の町内会について

水資源の持続可能性に配慮した取り組み

水資源の持続可能な管理と効率的な利用を実施します。

水源涵養林などの森林保全活動

「内ヶ谷の森」をはじめとした森林の保全活動を実施しています。

内ヶ谷山林について

内ヶ谷山林は、1914年(大正3年)に中部電力の前身である名古屋電燈が取得し、これまで水源涵養林として大切に管理されています。
約1,100万m2(東京ディズニーランドの約21倍)という広大な敷地内に、樹齢90年以上にもなるスギ・ヒノキなどの針葉樹林とブナ・ミズナラなどの広葉樹林が混交しており、林道沿いには清流長良川に注ぐ源流が流れるなど自然豊かな山林です。

岐阜県
岐阜県
  • 1,103.51ha 海抜:700m~1,124m
  • 水源涵養保安林、土砂流出防備保安林
  • 岐阜県郡上市大和町内ヶ谷
  • 東海北陸自動車道ぎふ大和インターチェンジより約40分東海北陸自動車道を利用し、名古屋から車にて約2時間

ダム運用による水の適切な利用

水力発電における濁水対策と河川維持流量の放流などにより、流水の清潔の保持、河道の維持など河川環境の保全に取り組んでいます。

ダム運用による水の適切な利用(木曽川水系 久々野ダム)の写真
ダム運用による水の適切な利用(木曽川水系 久々野ダム)

オフィスの水使用を極力低減

オフィスでの節水と従業員の節水意識の向上節水型節水型衛生機器の積極的採用による節水対策や従業員1人あたりの水使用量を算出し「見える化」することで、従業員の節水意識を啓発し、水使用量の低減に努めています。

水道データの利活用

水道スマートメーターの自動検針で取得可能な各種データを用いて、水使用量の「見える化」による節水意識の向上や自治体に漏水の早期発見などをサポートし、水資源の有効利用に貢献していきます。

水道データの利活用の写真

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