定例記者会見
定例記者会見
2024年5月度 定例記者会見 林社長挨拶
2024年05月28日
中部電力株式会社
- 本日、私からは、
- 再生可能エネルギーの最大限の活用に向けた取り組み
について、お話しします。
再生可能エネルギーの最大限の活用に向けた取り組み
(はじめに)
- 皆さまもご承知のとおり、第7次エネルギー基本計画の見直しに向けた議論が、5月15日に国の審議会である「基本政策分科会」において開始されております。
- ウクライナや中東情勢に係る地政学的リスクの顕在化も含め、昨今の国内外のエネルギー情勢を踏まえて検討されていくものと考えており、安定供給と経済性を考慮した再生可能エネルギーの最大限の導入に向けた取り組みを促進することも重要な論点であると考えております。
- 本日は、足元で顕在化している余剰電力への対応を中心に、再生可能エネルギーの最大限の活用の観点からご説明させていただきます。
(再エネ導入および出力制御の現状)
- 再生可能エネルギーの導入量は、2012年度のFIT制度開始以降、日本全体で太陽光発電を中心に着実に増加しており、春や秋といった軽負荷期では最小需要を大きく上回る状況になっております。
- 中部エリアにおいては、本年3月末時点の連系量が、1,198万kWとなり、昨年度の最小需要である990万kWを上回っている状況であります。
- 電気は、時々刻々と変化する需要に対し、常に供給を一致させる必要があり、仮に需要と供給のバランスが崩れた場合には、大規模な停電に繋がるおそれがあります。
- このため、気象条件によって大きく変動する太陽光や風力の発電出力に対応する必要があり、常に火力発電などの発電出力を調整し、需給バランスを保っております。
- 近年大幅に増加する再生可能エネルギーに対応し、最大限に活用するため、余剰電力が発生する場合には、「優先給電ルール」に基づき、火力発電などから順に出力を制御し、それでもなお余剰電力が解消できない場合には、発電事業者の方々に太陽光発電や風力発電などの出力制御をお願いしております。
- 中部エリアにおいても、昨年4月に初めて出力制御を実施し、昨年度の出力制御実績は合計20回となりました。
- 今年度においては、5月21日時点で、合計19回の出力制御を実施しており、昨年度の同時期を上回る水準で推移しております。
- 太陽光発電と風力発電が抑制された割合を表す出力制御率については、中部エリアにおける2023年度実績は0.2%と、日本全体の2%程度と比べて低い水準ではありますが、再生可能エネルギーの拡大を妨げることのないよう、出力制御を低減することが重要であります。
- そのため、昨年12月に国の審議会において、新たな「再エネ出力制御対策パッケージ」が取りまとめられております。これに基づき、当社グループにおいても、需給両面で出力制御の低減に向けた様々な取り組みを進めております。
(出力制御の低減に向けた取り組み 中部電力ミライズ株式会社)
- まず、中部電力ミライズ株式会社の取り組みをお話しします。
- 中部電力ミライズ株式会社では、電力の需給状況や再生可能エネルギーの発電量に合わせて、お客さまに電気の使い方を工夫していただくデマンドレスポンスの取り組みを行っております。
- ご家庭のお客さま向けサービスとして、2022年7月より「NACHARGE(ネイチャージ)」というデマンドレスポンスサービスを展開しております。
- このサービスは、発電量の多い時間帯に掃除や洗濯などの家事をまとめて行うなど、お客さまに電気の使用時間を変更していただくことで、ご協力いただいた量に応じてポイントを進呈するものであります。
- ポイント単価はその時々に変わりますが、例えば本年4月1日から5月9日においては、お昼の時間帯に、直近のご使用実績より多くの電気をご使用いただいたお客さまに、1kWhあたり5円相当のポイントを進呈しております。
- 5月9日時点で約36万件の方にご加入いただいており、本年4月から5月9日までの期間においては、電気のご使用時間の変更を8回お願いし、累計で約94万件の方にご協力いただいております。
- また、昨年9月からは、シャープ製の蓄電池を設置されているご家庭を対象に、ネイチャージの機能を拡充したサービスとして、「NACHARGE Link(ネイチャージリンク)」のご提供を開始しております。
- ネイチャージリンクは、ネイチャージと異なり、中部電力ミライズ株式会社が蓄電池の充放電を遠隔制御するため、お客さまの対応が不要であります。
(出力制御の低減に向けた取り組み 中部電力パワーグリッド株式会社)
- 次に、中部電力パワーグリッド株式会社の取り組みをお話しします。
- 中部電力パワーグリッド株式会社では、先ほどご説明した「優先給電ルール」に基づく運用に加え、「再生可能エネルギー発電設備のオンライン化の推進」「火力発電設備の最低出力の引下げの協力要請」「託送料金におけるピークシフト割引の適用時間帯拡大」などに取り組んでおります。
- 1点目の再生可能エネルギー発電設備のオンライン化は、出力制御時間の短縮に繋がるものであるため、順次拡大を図ってきており、昨年9月末時点の太陽光発電のオンライン化実績は55.5%となっております。
- 2点目の火力発電設備の最低出力の引下げについては、国の審議会において、既設火力発電の最低出力の引き下げの努力目標が示されたことを受け、発電事業者さまへの協力要請を行っております。
- 最後に、託送料金面での対策として、昨年4月より、ピークシフト割引の適用時間帯について、電力需要が小さく、太陽光発電の出力が大きい時期の昼間の時間帯を追加しております。
(まとめ)
- 当社グループは、再生可能エネルギーの最大限の活用に向け、本日お話しした取り組みをはじめ、新たなサービスのご提供や電力ネットワークの次世代化などの施策を、お客さまのご理解とご協力をいただきながら需給両面で積極的に推進してまいります。
- 私からは以上です。
資料
以上