
RESEARCHERS
先端技術応用研究所
藤本 貴之
TAKAYUKI FUJIMOTO
PROFILE
所属 | 先端技術応用研究所 |
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研究・専門分野 | 燃焼工学(ガス)、機械設計 |
学位 | 修士:(機械工学)豊橋技術科学大学 |
趣味・好きなこと | 家具家電の(素人)修理、ホームセンター通い、風呂 |
研究キーワード | 工業炉、燃焼、水素、アンモニア、脱炭素、省エネルギー |
(注)2025年6月取材時
藤本さんの専門分野を教えてください。
専門は燃焼工学です。その中でも、気体の燃焼をメインとし、産業用の燃焼利用機器の開発に取り組んでいます。
脱炭素化の実現には、水素やアンモニアといった新燃料での運用が必要となるため、これらの燃焼利用について、深く掘り下げて研究開発をしています。

今の専門分野に携わろうと思ったきっかけは?

大学時代、ロケットを学んでみたいという思いがあり、燃焼工学の研究室を選んだことが最初のきっかけです。ただ、いざ研究をはじめてみると、当然ですが実際のロケットと研究室レベルの実験とでは規模感が全く違い、大きなギャップを感じました。
そこで、実際に燃やして確認できる産業分野の燃焼に対象を変更して研究するようになりました。卒業後に勤めた前職の会社では、大学時代の研究を活かしながら設計開発に携わりました。
脱炭素が注目される時代となり、中部電力がソリューション提供に向けた研究開発を進めていくことを知り、3年前に転職してきました。
現在の研究について、詳しく教えてください。
産業用の水素燃焼器の開発に重点的に取り組んでいます。
脱炭素化に向けて二酸化炭素の排出をゼロにするには、まず燃やしても二酸化炭素を出さない燃料に変えられないかを考えます。水素はその中でも有力な選択肢の一つです。
水素には危険なイメージがありますが、安定した物質で毒性もないので、実際には取り扱いやすい燃料です。とはいえ、都市ガスやプロパンと比べて非常に燃えやすいので、安全性の確保が必要なほか、排出NOxが増加する課題があります。さらに今後の展開を考えると、現実的なコストの中で課題に対応できなければ導入が進みません。これら課題の解決に向け、中部電力に入社以来3年間、燃焼器の設計開発に取り組んでいます。

またアンモニアの燃焼利用について、並行して基礎的な評価を始めています。アンモニアも二酸化炭素を出さない燃料の一つで、既存のインフラを活用できるメリットがありますが、こちらは燃やしづらい燃料のため、水素とは異なる工夫が必要です。大量に発生するNOxや毒性への対策も必要で、環境面だけでなく、人や周囲の安全も考慮した燃焼技術の検討を進めています。
研究における今後の目標や夢を教えてください。
脱炭素化社会の実現に向けた選択肢として提供できるよう、水素・アンモニアの燃焼利用技術をしっかりと確立したいと考えています。
さらに将来的には、燃焼に限らない、熱エネルギー利用分野の課題に対し、技術的な根拠をもってソリューションを提供し、社会貢献していきたいです。
元々“ものを作りたい・動かしたい・動いたものを使えるようにしたい”という思いから研究者に憧れ、モノづくりと向き合ってきました。使われるものを作りたい、との気持ちが常にあり、今取り組んでいる研究も、社会に役立つものにしたいと強く思っています。

技術報告(技術開発ニュース)
研究内容(ポスターなど)
所属学会
燃焼学会
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