白石 師

RESEARCHERS

先端技術応用研究所

白石 師

TSUKASA SHIRAISHI

PROFILE

所属 先端技術応用研究所
研究・専門分野 EMS(エネルギーマネジメントシステム)
学位 修士(工学)岡山大学
趣味・好きなこと 読書、ゲーム
研究キーワード 電気自動車(EV)、V2H、省エネ、EMS、地域熱供給

(注)2025年10月取材時

白石さんの専門分野を教えてください。

現在の専門分野は、EMS(エネルギーマネジメントシステム)です。電気の同時同量を達成するために、電気を利用する側のエネルギーリソースを制御・管理することで、より効率的におこなうためのシステムを研究しています。

白石さん

中部電力でこの分野に携わろうと思ったきっかけは?

きっかけはふたつあります。

ひとつは、小学校5年生のときに、東日本大震災を経験したことが大きいですね。地震の後しばらくして何回か計画停電があり、そのときに電気が使えない不便さを痛感しました。
もうひとつは、将来化石エネルギーが枯渇するかもしれないと授業で聞いて危機感を感じたことです。やっぱりそれは嫌だなと子供心に思ったんですね。この思いが中学生になるとさらに深まり、エネルギーのことに関わりたいと考えるようになりました。

そんな思いもあって、大学進学を考える際には、エネルギーの効率的利用をテーマに掲げる研究室に強く惹かれ、その研究室で学びたいという気持ちが、大学選びの決め手となりました。
所属した研究室内では中部電力と共同研究を進めていましたが、師事していた教授が岡山大学に異動することになり、共同研究を続けたかった私も、その大学院に進学しました。
共同研究では、実測データを活用できる点が非常に魅力的で、その研究テーマを継続して追い求めたいという気持ちが強かったんですよね。

中部電力に入社したきっかけは、こうしたエネルギーマネジメント研究の知見を活かして社会貢献できると感じたことです。また、共同研究を通じて中部電力を身近に感じるようになり、その研究の延長として当社で働くことが、自分にとっては自然な選択のように感じました。

現在、どんな研究に取り組まれているのでしょうか。

現在取り組んでいる研究のひとつは、CEMS(コミュニティエネルギーマジメントシステム)です。
似たようなものにBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)があり、そちらは、個々の建物でのエネルギーマネジメントをおこないますが、単一の建物だけでは、エネルギーの消費時間帯の偏りが生じることがあります。
CEMSとして複数の建物をまとめて制御することで、より効率的なエネルギー管理が可能になるため、その技術を研究しています。

白石さん

CEMSの具体例として、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)さまとの提携による「Karuizawa Commongrounds」での取り組みがあります。こちらは10軒ほどのテナントによる商業コミュニティ施設で、それぞれの建物に設置された太陽光発電で構成されています。
個々の建物ではなく一括で受電し、ひとつのエリアとして消費するほか、発電した電力もエリア全体で利用されます。また、V2H(Vehicle to Home)技術を活用して、蓄電池の代替としてEVへの充電や放電によって電力を有効活用しています。
これは、EVをなるべく再生可能エネルギーで走らせたいというCCCさまの思いからの取り組みです。
ほかには、V2Gや太陽光、ヒートポンプ給湯器などの制御を、どのような形で連携させていくかについても検討しています。

日頃の研究の中で醍醐味に感じる部分はなんですか?

醍醐味は、いろいろなデータを見ながら予測を立てて、検証・確認していくところですね。このプロセスを日頃から大事にしていますし、やっぱり楽しいなと思います。

今後の夢や目標について教えてください。

ひとつ目の目標として、EMSの研究開発を進めることで、EMSの普及に繋げたいと思います。
現在、EMSの印象は、「なんか良さそう」程度にとどまっており、具体的にどんなことができるのかという全体像が広まっていないのが現状です。
この現状を打破するために、私の属するグループでは、EMSのパッケージ開発に取り組んでいます。
パッケージ化することで、「EMSはこういうものだ」と理解いただきやすくすることが狙いです。そうしてEMSの正確な認知度がもっと広まれば、将来的にコストメリットも生まれ、再生可能エネルギーの普及にもつながると考えています。

もうひとつの目標として、幅広い分野で、社会に役立つさまざまな研究開発をおこなっていきたいと思います。
EMSは、多くの分野に関わっているため、これらの研究で得られた知見を活用して、さらなる効率化や改善を目指していきます。

白石さん

研究内容(ポスター)

所属学会

日本建築学会

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