プレスリリース

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浜岡原子力発電所3号機および4号機 低圧タービン動翼取付部のひび等に対する点検結果および原因と対策について

2013年06月21日
中部電力株式会社

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当社は、浜岡原子力発電所4号機(定格電気出力113.7万kW、第13回定期点検中)の低圧タービンの動翼取付部(車軸側)にひびが発生していることを確認し、3号機(定格電気出力110万kW、第17回定期点検中)の同部位についてもひびの存在を示す検査結果を得ました。

また、4号機の低圧タービン動翼取付部(動翼側)にひびおよび割れが発生していることを確認しました。3号機の動翼取付部(動翼側)についても、ひびの存在を示す検査結果を得ました。(詳細は、「これまでお知らせした内容」参照)

これまで、ひびおよび割れの存在を確認した低圧タービン動翼取付部(車軸側および動翼側)について、それぞれ詳細な調査を実施してまいりました。このたび、点検結果および原因・対策をとりまとめましたので、車軸、動翼についてそれぞれお知らせします。

車軸の点検結果および原因と対策について

1 点検結果について

超音波探傷検査(注1)において有意な指示波形を確認した部位について磁粉探傷検査(注2)を実施したところ、低圧タービンの動翼取付部(車軸側)の一部にひびを確認しました。

ひびの深さを調査するため、ひびが除去できるまで当該箇所を切削しました。その結果を用いて強度評価をおこなった結果、動翼の復旧が困難な箇所があることを確認しました。

サンプルを採取し、顕微鏡による表面観察を実施した結果、ひびは金属組織の粒界に沿って発生していることを確認しました。

2 原因について

顕微鏡によるひびの表面観察および低圧タービン動翼取付部(車軸側)の材料、使用環境および発生応力の状況から、ひびは応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)によるものと推定しました。

3 対策について

(1) 点検および評価

現状の車軸に対し、次項(2)による復旧を実施した状態において、運転中に応力腐食割れが再発および進展する場合を仮定して、今後の運転が可能か評価をおこないました。その結果、少なくとも約4年(3サイクル)の運転が可能であることを確認しました。

今後、定期的に当該部位の点検をおこない、健全性を評価してまいります。

(2) 復旧方法

ひびが深く、強度上、動翼の復旧が困難な箇所について、以下の方法で復旧します。

【1】はさみ金の設置

動翼取付部(車軸側)に加わる遠心力の影響が少ないはさみ金を動翼に代えて設置します。

【2】圧力プレートの設置

はさみ金の設置が困難な段落については、当該段落の動翼をすべて取り外し、これらと同等の圧力降下を発生させ、同時に流れを整える圧力プレートを設置します。

【3】車軸の取り替え

4号機の低圧タービン(C)は、はさみ金および圧力プレート設置による復旧が困難であることから、車軸を新たに製作し、取り替えをおこないます。車軸の取り替えにあたっては、動翼取付部(車軸側)の応力腐食割れの発生を抑制する対策を計画してまいります。

車軸の復旧は、津波対策およびフィルタベント設備等のシビアアクシデント対策の完了目標である2014年度末までに実施する予定です。なお、圧力プレートの設置により運転時の発電機出力が定格の約7%低下するものと評価しております。

4 車軸の取り替えについて

今後、3号機の低圧タービン(A)~(C)および4号機の低圧タービン(A)、(B)についても車軸の取り替えを計画してまいります。車軸の取り替えにあたっては、4号機の低圧タービン(C)の車軸も含め、動翼取付部(車軸側)の応力腐食割れの発生を抑制する対策を計画してまいります。

動翼の点検結果および原因と対策について

1 点検結果について

(1) 3号機について

超音波探傷検査で有意な指示波形を確認した低圧タービンの動翼取付部(動翼側)について、目視検査および磁粉探傷検査を実施しました。その結果、ひびや割れは確認されず、超音波探傷検査で得られた有意な指示波形は、動翼の機能に影響のない擦り傷を検出したものであることを確認しました。

(2) 4号機について

目視検査、超音波探傷検査および磁粉探傷検査を実施したところ、低圧タービンの動翼取付部(動翼側)の一部にひびおよび割れを確認しました。ひびおよび割れを確認した部位について顕微鏡による表面観察を実施した結果、破面に高サイクル疲労(注3)の特徴を示す細かいすじ模様を確認しました。

また、ひびの一部は、先端部まで錆等が付着しており、新しい金属破面が確認されていないことから、過去に発生したひびが至近に進展していないと推定しました。

2 原因について

高サイクル疲労割れの発生について評価した結果、動翼の固有振動数(振動体を自由に振動させたとき、その振動体が示す固有の振動数)とタービンの回転周波数(1秒間に30回転:30Hz)の9倍および11倍の周波数が近接していることを確認しました。そのため、共振が発生して振動応力が増大し、高サイクル疲労割れが発生したものと推定しました。

動翼の固有振動数とタービンの回転周波数の整数倍の周波数(以下、「励振周波数」という。)が近い場合、共振が発生する可能性があります。そのため、設計時には動翼の固有振動数について確認をおこないますが、今回確認した8次(タービンの回転周波数の8倍)以上の励振周波数については、過去の運転実績から影響が少ないものとして確認していませんでした。

ひびが至近に進展していないことを確認した動翼については、過去に共振による振動応力を低減するための構造変更をおこなっています。そのため、構造変更前に高サイクル疲労割れが発生し、構造変更後は進展が止まったものと推定しました。

3 対策について

動翼の取り付けにあたっては、8次以上の励振周波数についても考慮し、高サイクル疲労割れを防止する設計を採用するとともに、ひびおよび割れを確認した動翼全数については新品取り替えをおこない、2014年度末までに復旧する予定です。

また、動翼取り替え後は、動翼の固有振動数を確認し、共振による振動応力の増大の影響を確認してまいります。

(注1)超音波探傷検査
検査対象物に超音波を入射し、対象物の内部を超音波の反射により調査する検査です。動翼を取り付けた状態でも車軸の検査することが可能です。

(注2)磁粉探傷検査
検査対象物に磁界を作用させたときの磁粉模様により、対象物表面(表面近傍の内部を含む)を調査する検査です。

(注3)高サイクル疲労
金属材料に一定以上の力が1万~10万回以上繰り返し加わることにより、ひび割れが発生・進展し損傷に至る現象です。

添付資料

添付資料

以上

添付資料1

(これまでお知らせした内容)

浜岡4号機 第13回定期検査において、低圧タービン第7段~第12段の動翼取付部(車軸側)の一部を代表範囲として超音波探傷検査をおこなったところ、低圧タービン(C)の高圧タービン側第10段~第12段および発電機側第10段~第12段の動翼取付部に有意な指示波形を確認しました。(2012年8月8日 公表済み[PDF:299KB]

その後、浜岡4号機の低圧タービン(A)(B)についても点検をおこない、低圧タービン(C)と同様に第10段~第12段に有意な指示波形を確認しました。(2012年9月4日 公表済み[PDF:203KB]

指示波形を確認した浜岡4号機の低圧タービン動翼取付部(車軸側)について、磁粉探傷検査等をおこなうために動翼を取り外したところ、低圧タービン(B)の発電機側第12段から取り外した動翼の動翼取付部(動翼側)の一部に割れおよびひびを確認しました。(2012年11月6日 公表済み[PDF:194KB]

浜岡4号機の低圧タービン動翼取付部(車軸側)で有意な指示波形を確認したことを受け、浜岡3号機第17回定期検査において、低圧タービン第7段~第12段の動翼取付部(車軸側)全周について超音波探傷検査をおこなったところ、低圧タービン(C)の高圧タービン側第12段および発電機側第12段の動翼取付部(車軸側)に有意な指示波形を確認しました。(2012年11月28日 公表済み[PDF:265KB]

その後、浜岡3号機の低圧タービン(C)の第7段~第12段の動翼取付部(動翼側)全周について超音波探傷検査をおこなったところ、低圧タービン(C)の発電機側第12段の動翼取付部(動翼側)に有意な指示波形を確認しました。(2012年12月5日 公表済み[PDF:217KB]

浜岡4号機の低圧タービン(A)~(C)の発電機側第12段の動翼取付部(車軸側)の磁粉探傷検査を実施した結果、超音波探傷検査で指示波形を確認した部位とおおむね同一の部位にひびを確認しました。

また、低圧タービン(A)~(C)の発電機側第12段の動翼取付部(動翼側)の目視検査および磁粉探傷検査を実施した結果、計450本の動翼のうち、9本に割れを確認し、92本にひびを確認しました。(2012年12月5日 公表済み[PDF:258KB]

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