プレスリリース
浜岡原子力発電所における緊急安全対策について(経済産業大臣からの指示に対する報告)
2011年04月20日
中部電力株式会社
当社は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による原子力発電所の被災状況を踏まえた浜岡原子力発電所の緊急安全対策について、経済産業大臣からの指示(注1)に基づきとりまとめ、本日、原子力安全・保安院へ報告書を提出しましたので、お知らせします。
今後、原子力安全・保安院の確認・評価を受けてまいります。
当社は、今後も情報収集に努め、迅速に必要な対策を講じていきます。
1 経済産業大臣の指示の内容
津波により、【1】交流電源を供給する全ての設備の機能、【2】海水を使用して原子炉施設を冷却する全ての設備の機能、【3】使用済燃料貯蔵プールを冷却する全ての設備の機能が喪失した場合であっても、炉心損傷および使用済燃料の損傷を防止し、放射性物質の放出を抑制しつつ原子炉施設の冷却機能の回復を図るための緊急安全対策を講じること。
2 当社の緊急安全対策の実施内容
当社は、以下のとおり緊急安全対策を実施しました。
(1) 緊急点検の実施(2011年4月18日対応完了)
津波に起因する緊急時対応のための機器および設備の緊急点検を実施し、異状のないことを確認しました。
また、原子炉建屋へ津波の浸入を防止するため、建屋外壁の貫通部および扉等の防水機能の健全性確認を実施し、異状のないことを確認しました。
(2) 緊急時対応計画の点検(2011年4月20日対応完了)
緊急時の対応をおこなう体制の整備を図るため、【1】計画の策定、【2】要員の配置、【3】訓練、【4】資機材の配備、【5】定期的な評価と必要な措置について、社内規定に定めるとともに、緊急時対応を確実に実施するための具体的手順を策定しました。
- 災害対策用発電機(注2)による、充電池や補給水ポンプへの電源供給手順
- 可搬式動力ポンプ等による水源確保手順
- 原子炉隔離冷却系による原子炉への注水ができなくなった場合でも、原子炉への注水を継続するための代替注水手順
- 全交流電源喪失時の原子炉格納容器のベント操作手順
- 使用済燃料貯蔵プールへの注水を継続するための代替注水手順 等
(3) 緊急時の電源確保(2011年4月19日対応完了)
策定した手順に基づき、災害対策用発電機、電源ケーブル等を配備しました。
なお、これに伴い、発電所に配備していた発電機車を営業所に配備替えします。
(4) 緊急時の最終的な除熱機能の確保(2011年4月19日対応完了)
- 策定した手順に基づき、原子炉への注水に必要な可搬式動力ポンプ、ホース等の資機材を配備しました。
- 策定した手順に基づき、全交流電源喪失時においてもすみやかに原子炉格納容器のベント操作を実施するため、窒素ボンベ等の資機材を配備しました。
(5) 緊急時の使用済燃料貯蔵プールの冷却確保(2011年4月19日対応完了)
策定した手順に基づき、可搬式動力ポンプ等[(4)と兼用]の資機材を配備しました。
(6) その他自主的に実施した対策(2011年4月19日対応完了)
- 海水系ポンプの電動機が津波の影響により被水し機能喪失した場合に、その機能を早期に復旧させる手段として、電動機の予備品確保および交換手順を策定しました。
- 屋外にある非常用ディーゼル発電機の燃料移送ポンプが、津波により機能喪失した場合に備え、仮設ポンプの配備および燃料移送手順等を策定しました。
- がれき除去のために、重機(ホイールローダー)を配備しました。
(7) 緊急時対応計画に基づく訓練の実施(2011年4月19日対応完了)
緊急時対応計画にて策定した対応手順や資機材を用いて、津波による1~5号機の同時災害を想定した緊急事態対策訓練(個別訓練を含む)をおこない、その有効性を確認・評価するとともに、必要に応じて改善を図りました。
今後も、定期的に訓練を実施していきます。
3 今後の対策について
当社は、今回策定した緊急安全対策について、その実効性を訓練等により継続的に検証するとともに緊急時の更なる対応能力の向上を図ります。さらに、上記緊急安全対策に加えて、既設設備の強化や必要な設備の設置等津波に対する裕度向上対策を進めてまいります。
(1) 津波の浸水防止対策
- 発電所敷地海側への防波壁の設置(2011年4月5日 準備工事着手)
(2) 津波の浸水を想定した対策
- 海水系ポンプエリアへの防水壁の設置(2011年4月5日 設置工事着手)
- 防水構造扉の信頼性強化
- 非常用交流電源装置の高台への設置
(3) 緊急事態に備えた対策
- 予備蓄電池の確保
- 非常用炉心冷却系等の予備品の確保
- 緊急時用資機材倉庫の設置
【これまでの公表状況】
- 東北地方太平洋沖地震を踏まえた浜岡原子力発電所の対応について
(2011年3月15日公表【PDF:256KB】) - 東北地方太平洋沖地震を踏まえた浜岡原子力発電所の対応について(続報)
(2011年3月22日公表【PDF:122KB】)
(注1) 経済産業大臣の指示とは、2011年3月30日に経済産業省より発出された「平成23年福島第一・第二原子力発電所事故を踏まえた他の発電所の緊急安全対策の実施について(指示)」(平成23・03・28原 第7号)のことです。
(注2)災害対策用発電機とは、当社はこれまで可搬型発電機としてお知らせしてきましたが、当該発電機の機動性等を考慮し、原子炉建屋2階屋上に常設しましたので名称を災害対策用発電機に変更します。
添付資料
以上