プレスリリース

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世界初、液式調湿空調機の調湿剤にイオン液体を採用した新技術を開発

2018年09月06日
中部電力株式会社
ダイナエアー株式会社

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中部電力株式会社(所在地:名古屋市東区、代表取締役社長:勝野 哲)およびダイナエアー株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:宮内 彦夫、以下「ダイナエアー」)は、液式調湿空調機の調湿剤に世界で初めてイオン液体(注)を採用する新技術(以下「本技術」)を開発しました。

液式調湿空調機は、除湿と冷却または加湿と加温を同時に行うことができ、また、高い除菌性能を備えていることから、病院や食品工場などを中心に導入されています。調湿剤という湿度を調節する液体を処理機と再生機で循環させ、その温度と濃度を制御することで、建物内に任意の温度と湿度の空気を供給します。

【従来の液式調湿空調機の概要図(夏季冷却除湿時)】

従来の液式調湿空調機の概要図(夏季冷却除湿時)の画像

従来の液式調湿空調機の調湿剤には、塩化リチウムが採用されてきましたが、塩化リチウムは、鉄などの汎用的な金属を腐食するため、熱交換器に耐腐食性に優れたチタニウムなどの高価な金属材料が必要でした。また、調湿剤は、温度が上昇すると除湿能力が低下する特性があり、除湿能力を維持するには、大量の調湿剤が必要でした。

本技術は、鉄などの汎用的な金属でも腐食しないイオン液体(注)を調湿剤に採用するとともに、熱交換器と気液接触器を層状に配置し、調湿剤の温度と濃度を調整しながら循環させることにより、少ない調湿剤の量で、従来と同等の調湿・除菌性能を実現しました。

本技術により、液式調湿空調機の製造・運転コストを大きく低減できる見込みです。

【従来方式と本技術の比較】

従来方式と本技術の比較の画像

今後、ダイナエアーが中心となり、本技術を用いた液式調湿空調機の実証試験を行い、2019年度を目標に商品化を進めてまいります。

なお、本技術の開発は、早稲田大学齋藤・山口研究室ならびに、エボニック インダストリーズAG(本社所在地:ドイツ エッセン、取締役会長:クリスチャン・クルマン)の協力のもと行っております。

【本技術の特徴】

1 大幅な低コスト化
イオン液体を採用することにより、汎用的な金属(鉄、ステンレス、アルミニウム等)を使用できるため、従来の液式調湿空調機と比較して、製造コストを20%以上低減できる見込みです。

2 高い省エネ性
調湿剤の量を低減することで、従来の液式調湿空調機と比較して、調湿剤を循環させるポンプの消費電力を約80%削減できる見込みです。

3 調湿性能と除菌性能
性能評価試験により、従来調湿剤として用いられてきた塩化リチウムと同等の調湿性能と除菌性能を確認しました。

(注)イオン液体
イオンのみ(陽イオン、陰イオン)で構成される常温で液体状態の化合物である。陽イオンと陰イオンの液体の組み合せにより様々な機能を持たせることができ、各種電池の電解質や潤滑油などへの応用が期待されている。

以上

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