プレスリリース

プレスリリース

浜岡原子力発電所における津波対策の強化

2012年12月20日
中部電力株式会社

記事をシェアする

当社は,2012年8月に公表された内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」の第二次報告について,津波高等の推計に関するデータ提供を受け,内閣府の津波断層モデルを用いた津波のシミュレーションを行いました。また,このシミュレーションにより,津波が浜岡原子力発電所に与える影響を評価いたしました。

その結果,現在進めている津波対策により,原子炉を速やかに冷温停止できることを確認いたしました。

加えて,当社は,最大クラスの巨大津波である内閣府の津波断層モデルによる津波(以下「内閣府モデルによる津波」という。)に対しても,2011年7月に公表した当社の津波対策の考え方(「浸水防止対策1」「浸水防止対策2」「緊急時対策の強化」)をさらに徹底する方針のもと,引き続き対策を積み重ね,安全性をより一層高めます。

そこで,今回行った「現状の津波対策」の評価の結果と今後進める津波対策の強化についてお知らせいたします。

1 当社の津波対策の考え方(2011年7月22日公表

当社は,巨大津波に対して,「防波壁等により津波の浸入による敷地内の浸水を防ぎ,また,トンネルで海とつながっている取水槽等からの溢水による敷地内の浸水に対して,防水壁により原子炉機器の冷却に必要な海水取水ポンプ(屋外設置)を守る(「浸水防止対策1」)」とともに,「建屋内浸水防止対策により建屋内の安全上重要な設備の浸水を防ぐ(「浸水防止対策2」)」ことで,すべての安全上重要な設備の機能を維持することを目指します。

さらに,巨大津波が防波壁等を越えて敷地内に浸入し,屋外に設置されている海水取水ポンプの機能を失ったとしても,防波壁等による敷地内の浸水量の抑制効果を可能な限り高めたうえで,「海水取水ポンプに代わり,防水構造の建屋内に設置する緊急時海水取水設備(EWS)により冷却機能を確保し,建屋内浸水防止対策により建屋内の安全上重要な設備の浸水を防ぐ(「浸水防止対策2」)」ことで,速やかにかつ確実に原子炉を冷温停止に導く考えです。

福島第一原子力発電所と同様に全交流電源や海水冷却機能を喪失した場合においても,「(1)高台に設置するガスタービン発電機をはじめとする電源供給手段の多重化・多様化,(2)可搬式動力ポンプをはじめとする原子炉を冷やすための注水手段の多重化・多様化,(3)格納容器ベントの遠隔操作化をはじめとする除熱手段の多様化等,複数の代替手段を講ずる(「緊急時対策の強化」)」ことで,冷やす機能を確保します。

2 内閣府の公表結果を踏まえた「現状の津波対策」の評価

当社は,2012年8月に公表された内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」の第二次報告について,津波高等の推計に関するデータ提供を受け,内閣府の津波断層モデルを用いた津波のシミュレーションにより,津波が浜岡原子力発電所に与える影響を評価いたしました。

このシミュレーションによって得られた津波の水位は,防波壁前面でT.P.(東京湾平均海面)+14 7~20.7mとなり,T.P.+18mの防波壁を敷地東側で越流しますが,防波壁の働きにより敷地内の浸水量は抑制されます。

防波壁からの越流と取水槽等からの溢水により,3,4号機周辺の浸水は,深さ1~3m程度(T.P.+7~9mに相当),5号機周辺の浸水は,深さ1~6m程度(T.P.+9~14mに相当)となります。原子炉機器の冷却に必要な海水取水ポンプは浸水します。

しかしながら,

  • 建屋外壁扉等の耐圧性・防水性を強化して,建屋内の浸水を防止する対策
  • 防水構造建屋内のポンプにより海水冷却機能を確保する対策(緊急時海水取水設備(EWS))

によって,浜岡原子力発電所3~5号機が運転している状態においても,原子炉を速やかに冷温停止できることを確認いたしました。

詳細については,別紙のとおりです。

3 津波対策の強化

当社は,「内閣府モデルによる津波」に対しても,津波対策の考え方をさらに徹底し,「浸水防止対策1」および「浸水防止対策2」を強化することで,津波に対する安全性をより一層高めます。具体的には,

(1)「浸水防止対策1」の強化

敷地内への浸水防止効果を可能な限り高める観点から,防波壁を現在のT.P.+18mからT.P.+22mに嵩上げするとともに,東西盛土をT.P.+18~20mからT.P.+22~24mに嵩上げします。また,海水取水ポンプエリアの防水壁を現在の1 5mから3mに高くします。

この結果,「内閣府モデルによる津波」に対しては,防波壁からの越流がなくなり,敷地内の浸水は取水槽等からの溢水によるもののみとなり,3~5号機周辺の浸水の深さは概ね1m以下で,最大でも2m以下にとどまります。海水取水ポンプ周辺の浸水の深さは最大1 3m程度であり,高さ3mの防水壁によって海水取水ポンプの浸水防止機能も確実に強化されます。

(2)「浸水防止対策2」の強化

防波壁を越流する津波と取水槽等からの溢水により敷地内の浸水が増える場合に備えて,建屋内への浸水防止対策をより確実なものにいたします。

今回実施したシミュレーションでは,津波が防波壁を越えて敷地内に浸入した場合,5号機の建屋周辺の最大浸水水位は3,4号機に比べて5m程度高い結果となったことから,5号機の高所にある建屋開口部に,実用化の検討を進めてきた自動閉止装置を新たに設置いたします。

なお,これら浸水防止対策の強化についても,現状の津波対策工事の完了目標としている2013年12月を目途に進めてまいります。

詳細については,別紙のとおりです。

4 その他の検討状況

(地震に対する安全性評価)

内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」は,2012年8月に第二次報告を行いましたが,強震断層モデル等について点検・評価し,必要に応じ,修正するとしています。

当社は,引き続き,同検討会の検討状況を踏まえて,浜岡原子力発電所における地震動の評価および同発電所への影響に関する評価を進めてまいります。

(使用済燃料乾式貯蔵施設)

当社は,使用済燃料乾式貯蔵施設を建設する計画を公表しておりますが,同施設についても,地震動の評価を行ったうえで,設計を進めてまいります。

当社は,浜岡原子力発電所の津波対策の取組みを着実に進めて安全性をより一層向上させるとともに,その内容を丁寧にご説明することで,地元をはじめ社会の皆さまの安心につながるよう,全力で取り組んでまいります。

別紙

以上

ページトップへ