送電のしくみ

地中送電

地中送電とは

都市や市街地など、送電鉄塔を新たに建てることが難しい地域では、地中送電方式で電気を送っています。地中送電には、電線を油や架橋ポリエチレンなどで絶縁した電力ケーブルを使っています。電力ケーブルは地下に設置された管路や洞道に収容されています。暴風雨、雪などの自然現象の影響を受けないので、安全・確実に電気を送ることができるようになっています。しかし、この方式は送電容量が小さく、建設費が高くなるというデメリットがあります。

洞道

地中送電で、電力ケーブルがたくさん集まる場所や変電所の出口には、トンネル型の「洞道」をつくります。洞道の大きさは、電力ケーブルの数や大きさによって決まりますが、内径が約3~5メートルの大きさです。内部には、照明・換気・排水設備などを設置し、定期的に送電線の点検をおこなっています。

【図解】洞道

管路と洞道のちがい

【図解】管道と洞道のちがい

電力ケーブル

地中送電に使われる電力ケーブルは、絶縁方式の違いから名称がつけられ、代表的なものにOFケーブルとCVケーブルがあります。OFケーブルでは、電線の周りに油をしみこませた紙を巻いて金属パイプの中に納め、すきまに油を満たして絶縁しています。一方、CVケーブルは電線を架橋ポリエチレンで覆って絶縁したケーブルで、OFケーブルに比べて、より大きな電力を送ることができます。
現在は、工事や保守が容易なことからCVケーブルが多く使われています。

CVケーブル

CVケーブルは、導体、架橋ポリエチレン絶縁体、内部半導電層、外部半導電層、しゃへいテープ、ワイヤーシールド、半導電性布テープ、波付ステンレス被、ビニール防食層などで構成されています。

豆知識

周波数について

交流は電圧と電流が一定の周波数で変化を繰り返していますが、その一秒あたりの変化の回数をいいます。単位はHz(ヘルツ)。日本の周波数は静岡県の富士川を境に東日本が50Hz、西日本が60Hzとなっています。場所によって周波数の違うところや、一部、混合地域もあります。これは、明治時代に初めて大型の発電機を購入したとき、東京電灯がドイツから、大阪電灯がアメリカからそれぞれ違った周波数の発電機を輸入したためです。周波数を統一する動きはありましたが、経済が発展してしまい、周波数を統一することが不可能になってしまったのです。そこで、異なる周波数を融通し合うための設備、周波数変換所というところがあります。静岡県佐久間(30万kW)および長野県新信濃(60万kW)の周波数変換所でそれぞれの周波数に直して電気を送っています。

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