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アクシデントマネジメント整備後確率論的安全評価報告書の提出について

2004年3月26日トピックス1号機2号機3号機4号機

本日、「アクシデントマネジメント整備後確率論的安全評価報告書」をとりまとめ、原子力安全・保安院に報告しました。

提出した報告書は、原子力安全・保安院の「代表原子力発電施設等以外のPSA(注)(アクシデントマネジメント(AM)導入後の評価)の実施依頼」(平成14年1月)に基づき、浜岡1~4号機を対象に、整備したアクシデントマネジメントを考慮して確率論的安全評価を実施し、その結果を取りまとめたものです。

評価の結果、炉心の健全性が脅かされる可能性(炉心損傷頻度)は浜岡1、2号機で約8割、浜岡3、4号機で9割以上低減され、格納容器の健全性が脅かされる可能性(格納容器破損頻度)は浜岡1~4号機で9割以上低減されることを確認しました。

今後とも、このような活動を通して浜岡原子力発電所の安全性向上に努めて参ります。

(注):PSAとは、「確率論的安全評価(Probabilistic Safety Assessment)」のことです。

以上

1~4号機アクシデントマネジメント整備後の確率論的安全評価について

(解説)

アクシデントマネジメント(AM:Accident Management)とは

  • 原子力発電所の安全性は、多重防護の思想に基づき安全確保対策を行うことで十分確保されています。
  • そのため、燃料が溶けるなど、炉心が大きく損傷するような過酷事故(シビアアクシデント)が発生する可能性は十分小さくなっています。
  • AMとは、発生の可能性が十分小さいとはいえ、シビアアクシデントに至る恐れのある事態が万一発生した場合、それが拡大するのを防止するため、もしくは拡大した場合にもその影響を緩和するために実施するものです。
  • AMの整備は、電力が自主的に実施するもので、浜岡1~5号機について、設備上の対応策(AM策)と運用面の対応策(実施体制、手順書類の整備、教育等の実施)を実施しました。 (参考)主な経緯
  • スリーマイルアイランド2号機事故(昭和54年3月)を契機に、電気事業者はAMに関する検討を積極的に進め、万一、設計の想定を超える事象に至っても、現有する設備を有効活用することにより適切な対応が可能となるように、手順書の整備・充実、教育等を開始しました。
  • AM整備について、平成4年5月に原子力安全委員会が奨励し、平成4年7月通商産業省(当時)が電気事業者に対して要請しました。
  • 平成6年3月に1~4号機のAM整備方針についてとりまとめ国に報告しました。また、平成14年5月にAM整備結果、AM整備の有効性評価結果を国に報告しました。

確率論的安全評価(PSA:Probabilistic Safety Assessment)とは

  • PSAとは、原子力発電所で発生する可能性のある異常事象を想定し、事象がどのように進展していくかを安全装置の故障確率などから計算することで、燃料の入った炉心や放射性物質を閉じ込める原子炉格納容器の損傷確率等を評価するものです。
  • 浜岡1~4号機について、整備したAMを考慮してPSAを実施した結果、炉心の健全性が脅かされる可能性(炉心損傷頻度)は浜岡1、2号機で約8割、浜岡3、4号機で9割以上低減され、格納容器の健全性が脅かされる可能性(格納容器破損頻度)は浜岡1~4号機で9割以上低減されることを確認しました。
  • また、炉心損傷頻度は、国際原子力機関(IAEA)の既設炉に対する目標である10―4/炉年を十分下回っております。


(単位:/炉年)
  浜岡1号機 浜岡2号機 浜岡3号機 浜岡4号機
炉心損傷頻度 整備前 4.3×10-7 3.5×10-7 8.1×10-8 7.1×10-8
整備後 7.9×10-8 5.7×10-8 4.3×10-9 3.3×10-9
低減率 約8割低減 約8割低減 9割以上低減 9割以上低減
格納容器破損頻度 整備前 1.6×10-7 1.3×10-7 4.1×10-8 3.4×10-8
整備後 8.4×10-9 8.1×10-9 2.4×10-9 1.9×10-9
低減率 9割以上低減 9割以上低減 9割以上低減 9割以上低減

1~4号機のAM策

(1) 原子炉停止機能にかかわるAM策

原子炉の停止に万一失敗した場合に備えて、現状の原子炉停止信号とは別の信号により、再循環ポンプを停止し原子炉出力を急減させるとともに制御棒を挿入するようにすることで、原子炉停止機能を向上させました。

(2) 原子炉および格納容器への注水機能にかかわるAM策(代替注水手段)

非常用炉心冷却系ポンプ等が万一故障した場合に備えて、補給水系や消火系のポンプによっても原子炉および格納容器へ注水できるように改造することで、注水機能を向上させました。

(3) 原子炉および格納容器への注水機能にかかわるAM策(原子炉減圧の自動化)

高圧系の非常用炉心冷却系ポンプ等が万一故障した場合、自動でも原子炉の減圧を可能とし、低圧注水ポンプでの注水に移行できるようにすることで、原子炉および格納容器への注水機能を向上させました。

(4) 格納容器からの除熱機能にかかわるAM策

格納容器過圧防止のための減圧操作の範囲を広げるために、格納容器に耐圧性を強化したベントライン(圧力を逃がすための設備)を設けることで、格納容器からの除熱機能を向上させました。

(5) 安全機能のサポート機能にかかわるAM策(電源の融通)

非常用ディーゼル発電機の起動電源等を確保するために、隣接プラントから交流電源を融通できるようにすることで、安全機能のサポート機能(電源融通)を向上させました。

【図】整備したAM設備の概要図

整備したAM設備の概略図

なお、浜岡5号機についてもAM整備方針の検討およびその整備を実施しました。AM整備方針については平成15年7月、AM整備結果については平成16年2月に国に報告し、その旨を公表しています。

以上

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