公開情報

3号機 シュラウド(注1)等のひび割れの調査状況

2003年8月28日運転情報3号機

3号機シュラウド中間部胴の溶接線付近、シュラウドサポートリングの溶接線付近、上部格子板用ベース(注2)およびアライナーブラケット(注3)付近のひび割れについて、5月27日に行った目視点検結果の公表以降、超音波を用いて深さ測定、金属サンプルを採取しての調査及び健全性の評価を行ってまいりました。
これらの結果がまとまりましたので、お知らせします。
それぞれのひび割れ深さは以下のとおりです。
ひび割れ深さ測定箇所 現在まで確認した範囲 ひび割れの状況
最大値 平均値
中間部リングの溶接線付近
(上部格子板用ベース、アライナーブラケット)
約10 約 9
中間部胴の溶接線付近
(H4内側)
約 9 約 6
シュラウドサポートリングの溶接線付近
(H7a及びH7b内側)
H7a 約17 約 9
H7b 約18 約12
下部リングの溶接線付近
(H6a外側)(4月17日公表)
約15 約 8
シュラウドサポートリング下部の溶接線(H7b内側)付近に認められたひび割れについては、金属サンプルを採取し、破面観察や断面観察などの調査を行いました。その結果、発生したひび割れは、応力腐食割れであることを確認しました。
これらの結果等より、現時点のひび割れ及び今後のひび割れの進展を考慮したうえで、シュラウド等の健全性を評価した結果、現状及び5年後においても、シュラウド等は十分安全な強度を維持していることを確認しました。
これらの評価結果については、本日(8月28日)国に報告しました(注4)。

(注1)シュラウドとは、原子炉圧力容器内に装荷されている燃料集合体(炉心)を囲むように設置されている円筒状の機器で、原子炉内の冷却水の流れを分離する仕切板の役割を持ったものです。

(注2)シュラウドの中間部リングの上に上部格子板を設置するための台座。

(注3)上部格子板の位置決めのための台座。

(注4)下部リング溶接線(H6a)付近で確認されたひび割れ(3月24日公表)については、当社にて健全性評価を実施済みですが(4月17日公表)、本日再度とりまとめ、国に報告しました。

事象の概要

シュラウド等の健全性評価(1)

中間部胴のひび割れ(H4内側溶接線付近)

(1)現在の健全性評価

中間部胴表面に点在するひび割れを、保守的に板厚方向に貫通しているものと仮定し、更に両側に余裕を見込んで健全な部分の面積(残存面積)を求めました。次に、通商産業省令第62号「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」等に基づき、運転中に想定東海地震(M8.0)を上回るM8.5の地震が起きた場合にも、シュラウドの構造を維持するために最低限必要な面積(最低限必要な残存面積)を求めました。
両者を比較して、残存面積は最低限必要な残存面積に比べ大きいことを確認しました。

(2)5年後の健全性評価

貫通しているものと仮定したひび割れが、周方向にひび割れが広がっていくものとして、5年後の残存面積を求めたところ、最低限必要な残存面積に比べて大きいことを確認しました。

(3) まとめ

評価の結果、現在及び5年後のシュラウドの残存面積は、最低限必要な残存面積に比べ大きく、その進展を考慮しても、原子炉の運転に問題ないと評価しました。

シュラウド等の健全性評価(2)

シュラウドサポートリングのひび割れ(H7a、H7b内側溶接線付近)

(1)現在の健全性評価

H7a付近に断続的に存在する周方向のき裂については、平均的な深さ(約9mm)のひび割れが全周にあるものとし、また、H7b付近に認められた6箇所のY字型のひび割れについては、保守的に板厚方向に貫通しているものと仮定し、更に両側に余裕を見込んだ上で、それらを重ね合わせて健全な部分の面積(残存面積)を求め、残存面積が最低限必要な残存面積に比べ大きいことを確認しました。

(2)5年後の健全性評価

ひび割れが半径方向及び周方向に広がっていくものとして、5年後の残存面積を求めたところ、最低限必要な残存面積に比べて大きいことを確認しました。

(3)まとめ

評価の結果、現在及び5年後のシュラウドの残存面積は、最低限必要な残存面積に比べ大きく、その進展を考慮しても、原子炉の運転に問題ないと評価しました。

シュラウド等の健全性評価(3)

中間部リングのひび割れ(上部格子板用ベース、アライナーブラケット溶接線付近)

当該溶接部付近のひび割れは、微細かつ部分的なものであり、上部格子板用ベース及びアライナーブラケットの溶接部全長にわたってひび割れが成長し当該部が中間部リングから切り離されることは考えにくいものです。また、仮にこれらが切り離されることを想定しても、上部格子板の自重により中間部リングに押さえつけられているため、運転中に分離するようなことはありません。  このため、中間部リングのひび割れが、シュラウドの構造健全性に及ぼす影響はないと評価しました。

シュラウド等の健全性評価(4(注))

シュラウド下部リングのひび割れ(H6a外側溶接線付近)

(1)現在の健全性評価

実際には断続的に存在するひび割れを、平均的な深さ(約8mm)のひび割れが全周にあるものとして、ひび割れのない健全な部分の面積(残存面積)を求め、残存面積が最低限必要な残存面積に比べ大きいことを確認しました。

(2)5年後の健全性評価

全周にある仮定としたひび割れの深さ方向への進展を評価し、5年後の残存面積を求めたところ、最低限必要な残存面積に比べて大きいことを確認しました。

(3)まとめ

評価の結果、現在及び5年後のシュラウドの残存面積は、最低限必要な残存面積に比べ大きく、その進展を考慮しても、原子炉の運転に問題ないと評価しました。

浜岡原子力発電所3号機 シュラウド等点検範囲図

浜岡原子力発電所のシュラウド等点検状況表(8月28日版)

(表の見方)
● : これまでにピーニング(注1)を実施済み
◎ : 過去の定期検査で目視点検実施済み
○ : 今回の定期検査で目視点検実施済み
◇ : 次回の定期検査以降計画的に目視点検を実施
水色: これまで国内プラントでひび割れが確認されている部位
  溶接線 1号機 2号機 3号機 4号機
















内側 H1
H2
H3
H4 ○ひび割れ(注2)
H6a
H6b
H7a(注4) ○ひび割れ(注2) ○ひび割れ(注2)
V1
V2
V3
V4
V5
V6
V7
外側 H1
H2
H3
H4
H6a ○ひび割れ(注2) ○ひび割れ(注2)
H6b
H7a(注4)
V1
V2
V3
V4
V5
V6
V7


内側 アライナー
ブラケット
該当部無し (注3) ○ひび割れ(注2)
上部格子板用
ベース
○ひび割れ(注2) 該当部無し ○ひび割れ(注2)
H7b(注4) ○ひび割れ(注2) ○ひび割れ(注2) ○ひび割れ(注2)
外側 H7b(注4)
また、過去に点検を実施した溶接線も含め、次回の定期検査以降も計画的な点検を実施していく。
(注1)材料表面の引張り応力を圧縮応力に改善し、ひび割れを防止する保全工法 (注2)ひび割れを確認した箇所の取扱い(いずれも、今回の定期検査における目視点検により確認)
1号機 H7b内側、上部格子板用ベース:
健全性評価を実施中
3号機H4内側、H6a外側、H7a,H7b内側、アライナーブラケット、上部格子板用ベース:
健全性評価を実施し、国に結果を報告。(なお、ひび割れが確認されなかったH6a外側溶接線の上側については、ピーニング実施)
4号機H6a外側及びH7a,7b内側:
健全性評価を実施し、国において評価の妥当性について確認済。
(注3)アライナーブラケットと同様の役割を持つアライナーガイドを今後計画的に点検
(注4)H7aはシュラウドサポートリング上部の溶接線、H7bはシュラウドサポートリング下部の溶接線(別図参照)

シュラウドサポートリングの溶接線について(解説)

溶接による熱影響を考慮して、サポートリング溶接線付近のひび割れは、右図のように整理しています。

以上

ページトップへ