放射線のはなし

福島第一原子力発電所の事故の影響

福島第一原子力発電所の事故の影響に関する情報を掲載しています。

事故の概要

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の津波による、福島第一原子力発電所の事故では、水素爆発により原子炉建屋などが破損し、放射性物質が大気中に放出されました。主に爆発のあった3月12日から15日にかけて大気中に放出された放射性物質は、風に乗って南西や北西の方角へと広まり、やがて雨によって地上に降下しました。
東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会による中間報告では、福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の総放出量(ヨウ素換算値)は、経済産業省原子力安全・保安院が約77万テラ(テラは1兆)ベクレル、内閣府原子力安全委員会が約57万テラベクレルと推計しています。なお、チェルノブイリ事故での総放出量は約520万テラベクレルとされています。

事故により放出された放射性物質

福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質のうち、特にヨウ素とセシウムが注目されたのは、揮発性が高く、大気中に放出されやすいためです。ただし、ヨウ素131の半減期は8日と短く、現在ではほとんど消滅していると考えられます。一方、セシウム(134、137)は半減期が長い上に土壌粒子と結合しやすい性質を持つため、長期汚染の原因になります。

周辺の放射線量の現状

現時点(2012年3月)では、福島第一原子力発電所周辺と一部の地域をのぞいて放射線量は事故前のレベルにまで下がり、大気中に放射性物質はほとんど検出されなくなっています。
なお、現在、各地で測定されている空間の放射線量は、主にセシウムなどの半減期の長い放射性物質が地面などに沈着した影響によるものと考えられます。

出典:(財)日本原子力文化振興財団WEBSITE「東京電力(株)福島第一原子力発電所事故」より本文転載、一部加筆
出所:原子力災害対策本部資料「原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書
—東京電力福島原子力発電所の事故について」(2011年6月)

除染が進められています

住民の方々の被ばく線量をできるだけ低減し、放射能による不安を一日でも早く解消するため、国の原子力災害対策本部は、県、市町村、地域住民と連携し、除染を進めています。これは、国際放射線防護委員会(ICRP)の「原発事故などが起きた後に周辺に住む人の年間被ばく限度量は、2007年の勧告に基づき、1から20ミリシーベルト(注)の範囲が妥当である」という考えにのっとったものです。

(注)ここでいう1から20ミリシーベルトは、空間線量ではなく、年間に受ける放射線の積算線量です。

ページトップへ