杉山 陽一

RESEARCHERS

電力技術研究所

杉山 陽一

YOUICHI SUGIYAMA

PROFILE

所属 電力技術研究所
研究・専門分野 土木工学、水理学、海岸工学
学位 修士(工学)名古屋大学
博士(工学)名古屋大学
趣味・好きなこと 日本海での船釣り、家事全般(なんでも得意)
研究キーワード 浮体式洋上風力発電、波力発電

(注)2024年12月取材時

杉山さんの専門分野を教えてください。

入社してから、いろいろな研究に携わってきたので、「専門は何ですか?」と聞かれることがあります。
私の専門は土木工学の中でも「水理学」です。もともと橋梁などの大きな構造物が好きだったでこの学科を選んだのですが、たまたま入ったのが人気のない水理研究室で、でも案外性に合っていたのでそのまま今に至るという感じです。

大学で基礎研究を続けるうちに、次第に社会に役立つ技術や設備の開発に携わりたいと思うようになりました。そんな中、お世話になった教授の推薦もあり、中部電力に入社したんです。
中部電力には水理実験棟が3つもあり、それぞれ、波を起こしたり、潮の満ち引きやダムの水路や河川の流れを再現できる機能をそなえていたことに心が躍ったのを覚えています。
実際の設計設計・改良に直結するような大規模な実験や研究が行われている点も、私にとっては非常に魅力的でした。

杉山さん

これまで取り組んできた研究について教えてください。

浮遊軸型風車の技術を大村知事へ紹介

浮遊軸型風車の技術を大村知事へ紹介

入社から東日本大震災までは、火力や原子力部門からの依頼研究をメインに取り組んでいました。現在は、浮体式洋上風力発電と波力発電が主な研究対象です。

火力・原子力関連では、起こった現象を解明する依頼が多かったですね。「なぜこれが起こるのか?」という疑問を解決するのはとても難しいですが、頻繁に現場に足を運び、やりがいを感じながら取り組んでいました。
ところが、震災をきっかけに原子力関連の水理研究は減少。また、火力部門もJERAへ事業統合することとなり、ともに研究の機会が減ってしまいました。

そんな中、当時の上司から突然、「浮体式洋上風力発電を研究してくれ」と言われたことがきっかけで取り組むことになりました。
国土の小さい日本にとって、海に浮かべる浮体式洋上風力は非常に魅力的な発電方法です。しかし、当時はヨーロッパでも開発が始まったばかりで、知見も取り組む人間も限られていました。手始めに、研究所内に元々あった波を起こす水槽を改造して、深い海の波と風を再現できる実験施設を整備し、縮尺模型を使った実験から研究を始めました。

浮体式洋上風力発電の実用化にむけた課題のひとつに、建設・運用コスト削減があります。これまで、国の低コスト化プロジェクトに参加し、コストを抑えるための取り組みを進めてきました。
また、材料を輸入に頼らず、発電効率の高い国産風車「浮遊軸型風車」の開発にも力を入れています。こちらは現在設計段階ですが、ようやく実証実験の目途が立ってきたところです。

一方で、波の力を利用する波力発電にも取り組んでいます。こちらは東京大学などと共同で研究を進めていて、実用化に向けた技術基盤を築くことを目指しています。これまで、国のプロジェクトで2つの海域での実証実験を重ね、一定の成果を上げてきました。
現在は波のエネルギーを安定して利用するための発電装置の開発を進めており、2030年頃の実用化を目指しています。

波力発電装置をチェック

波力発電装置をチェック

風力発電と同じように、波力発電も再生可能エネルギーの一つとして大きな可能性を秘めていますので、実用・拡大に向けてこれからも技術をさらに磨いていきたいと思っています。

今後の夢や目標について教えてください。

浮体式洋上風力発電は、再生可能エネルギーの重要な柱として、近年ますます注目を集める分野になってきたように思います。私が在籍する間にこの技術の発展と普及に貢献し、業界全体を盛り上げていきたいですね。
一方で、個人的には、波力発電のようにまだ注目度が低く、取り組む人が少ない分野も好きなので、
何とか社会実装に向けて力を尽くしたいと考えています。

入社以来、水理学を基盤にしながら、様々なプロジェクトに関わり、コツコツと技術や知識を高め、人脈を広げてきました。
これからも新しい技術開発に挑戦し、社会に革新をもたらすことを目指しています。

まだまだやりたいことだらけなので、一緒に取り組んでくれる仲間は常に募集中です(笑)
部門や専門を問いませんので、興味のある方は、一緒に研究してくれると嬉しいです。

杉山さん

技術報告(技術開発ニュース)

研究内容(ポスター)

特許等

取水設備(特許第5414481号)

所属学会

土木学会

電力土木技術協会

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