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浜岡1号機原子炉下部からの水漏れの原因と対策
原子炉圧力容器の下部で水が漏れていることを発見しました。
数秒に1滴程度の水漏れを、原子炉停止後の点検時に発見しました。
2001年11月9日、配管破断事故の調査のため原子炉を停止した後、原子炉格納容器内を点検したところ、制御棒駆動機構(注1)の下部付近で、数秒に1滴程度の量で、水が漏れていることを発見しました。その後、この水は原子炉内部の水(原子炉水)であること、水漏れの箇所は、スタブチューブと呼ばれる金属製の筒と原子炉圧力容器を溶接しているところであることがわかりました。
(注1)制御棒駆動機構:制御棒を動かす装置で、スタブチューブを介して原子炉圧力容器に取り付けられた、ハウジングという筒に設置されています。
なお、水漏れは原子炉格納容器内であり、水漏れによる周辺環境への放射能の影響はありませんでした。
原因は応力腐食割れでした。
調査・解析の結果、応力腐食割れ(注2)が発生したと考えられます。
(注2)応力腐食割れ:材料の性質、材料に加わる力および材料の使用環境の3つが特定の条件になったとき材料に発生する割れ。
1・2号の類似部位はすべて異常ありませんでした。
1号機について、他のスタブチューブの下部溶接部88本すべてを確認しましたが異常ありませんでした。2号機についても137本すべて確認しましたが、異常ありませんでした。
水漏れのあった箇所を取替えました。
運転管理の改善や、材料の使用環境の改善などもおこなっていきます。
水漏れのあった箇所の取替え
水漏れのあった箇所のスタブチューブと制御棒駆動機構ハウジングは、原因究明のためサンプル採取したことから、取り替えました(2002年9月)。
運転管理の改善
万が一、原子炉水が漏れても、早期に検知できるよう、露点温度の測定点を設置するとともに、監視や分析方法を改善しました。
今後の対応
信頼性を向上する観点から、材料の使用環境の改善(原子炉水中に含まれる酸素を減らす対策(注3))を継続するとともに、材料内部に加わっている力を改善する技術の検討も行っていきます。
(注3)原子炉水中に微量の水素を注入すると、原子炉水中に溶けている酸素が水素と科学的に結合して水に戻ります。それにより、酸素の濃度を低くし、応力腐食割れを起きにくくすることができます。